《法規》〈電気設備技術基準〉[H20:問9]B種接地工事を施す主たる目的に関する論説問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

「電気設備技術基準の解釈」に基づく\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事を施す主たる目的として,正しいのは次のうちどれか。

(1) 低圧電路の漏電事故時の危険を防止する。

(2) 高圧電路の過電流保護継電器の動作を確実にする。

(3) 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路との混触時の,低圧電路の電位上昇の危険を防止する。

(4) 高圧電路の変圧器の焼損を防止する。

(5) 避雷器の動作を確実にする。

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第24条からの出題です。
条文からの理解でももちろん良いですが,\( \ \mathrm {B} \ \)種工事は計算問題でもよく出題される内容です。したがって,過去問をしっかりと学習されている方であれば条文を知らなくても正答を導き出せるようになるかと思います。

【解答】

解答:(3)
(1)誤り
低圧電路の漏電事故時の危険を防止するのは\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事ではなく,\( \ \mathrm {C} \ \)種もしくは\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事になります。

(2)誤り
高圧電路の過電流保護継電器の動作を確実にするのは\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事とは関係ありません。接地工事として関連する内容は,第28条第1項「高圧計器用変成器の\( \ 2 \ \)次側電路には,\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事を施すこと。」という条文があります。

(3)正しい
電気設備の技術基準の解釈第24条第1項に規定されている通り,高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路との混触時の,低圧電路の電位上昇の危険を防止するのが\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の目的となります。

(4)誤り
高圧電路の変圧器の焼損を防止するのは\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事とは関係ありません。

(5)誤り
避雷器の動作を確実にするのは\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事とは関係ありません。接地工事として関連する内容は,第37条第3項「高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には,\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事を施すこと」という条文があります。

<電気設備の技術基準の解釈第24条(抜粋)>
(3)高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には,次の各号により\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事を施すこと。

 一 次のいずれかの箇所に接地工事を施すこと。

  イ 低圧側の中性点

  ロ 低圧電路の使用電圧が\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下の場合において,接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは,低圧側の\( \ 1 \ \)端子

  ハ 低圧電路が非接地である場合においては,高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板

<電気設備の技術基準の解釈の解説第17条(抜粋)>
第\( \ 1 \ \)項は,\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事の施設方法を示している。\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事は,特別高圧計器用変成器の\( \ 2 \ \)次側電路,高圧用又は特別高圧用機器の金属製外箱等の接地等,高電圧の侵入のおそれがあり,かつ,危険度の高い場合に要求されるものにおいて施すものである。

第\( \ 2 \ \)項は,\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の施設方法を示しており,第一号では接地抵抗値を示している。\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事は,高圧又は特別高圧が低圧と混触するおそれがある場合に低圧電路の保護のために施設されるもので,混触の際に,接地線に高圧又は特別高圧電路の地絡電流が流れた場合の電位上昇による低圧機器の絶縁破壊を防止するため,接地点の電位が\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)(\( \ 1 \ \)次側が高圧又は\( \ 35 \ \mathrm {kV} \ \)以下の特別高圧電路であって,\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)を超えたときに\( \ 1 \ \)秒を超え\( \ 2 \ \)秒以内に自動的に遮断する場合は\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \),\( \ 1 \ \)秒以内に遮断する場合は\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \))を超えないようにしたものである。

第\( \ 3 \ \)項は,\( \ \mathrm {C} \ \)種接地工事の施設方法を示している。\( \ \mathrm {C} \ \)種接地工事は,\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)を超える低圧用機器の金属製外箱等の接地など漏電による感電の危険度の大きい場合に施設されるもので,第一号において接地抵抗値は\( \ 10 \ \mathrm {\Omega } \ \)以下とすることを示している。

第\( \ 4 \ \)項は,\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事の施設方法を示している。\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事は,\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下の低圧用機器の金属製外箱等の接地など,漏電の際に,簡単なものでも接地工事を施してあれば,これによって感電等の危険を減少させることができる場合に施すもので,第一号において,接地抵抗値は\( \ 100 \ \mathrm {\Omega } \ \)以下とすることを示している。