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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく,特別高圧の電路の絶縁耐力試験に関する記述である。
公称電圧\( \ 22 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \),三相\( \ 3 \ \)線式電線路のケーブル部分の心線と大地との間の絶縁耐力試験を行う場合,試験電圧と連続加圧時間の記述として,正しいのは次のうちどれか。
(1) 交流\( \ 23 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間加圧する。
(2) 直流\( \ 23 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間加圧する。
(3) 交流\( \ 28 \ 750 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 1 \ \)分間加圧する。
(4) 直流\( \ 46 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間加圧する。
(5) 直流\( \ 57 \ 500 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間加圧する。
【ワンポイント解説】
特別高圧の電路の絶縁耐力試験に関する問題です。
最大使用電圧と試験電圧の違い,交流と直流の場合の違い等も整理する必要があります。
法規科目としては最も出題されやすい内容の一つなので,試験電圧はしっかりと理解しておくようにしましょう。
1.最大使用電圧
最大使用電圧は下表のとおりとなりますが,電験で出題されるのは係数\(\displaystyle \frac {1.15}{1.1}\)のみです。
<電気設備の技術基準の解釈第1条(抜粋)>
2.試験電圧
試験電圧は電気設備の技術基準の解釈第15条に細かく規定されています。最初に覚えておくべき内容は交流の試験電圧で,
\( \ 1.5 \ \times \ \)最大使用電圧 (最大使用電圧が\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)以下の時)
\( \ 1.25 \ \times \ \)最大使用電圧 (最大使用電圧が\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)を超え\( \ 60 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)以下の時)
となります。
<電気設備の技術基準の解釈第15条(抜粋)>
高圧又は特別高圧の電路(第13条各号に掲げる部分、次条に規定するもの及び直流電車線を除く。)は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
一 15-1表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して\( \ 10 \ \)分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、15-1表に規定する試験電圧の\( \ \color {red}{\underline {2}} \ \)倍の直流電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して\( \ 10 \ \)分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
【解答】
解答:(5)
最大使用電圧\( \ E_{\mathrm {m}} \ \)は,ワンポイント解説「1.最大使用電圧」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
E_{\mathrm {m}}&=&\frac {1.15}{1.1}\times 22 \ 000 \\[ 5pt ]
&=&23 \ 000 \ \mathrm {[ V ] } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となるので,交流試験電圧\( \ V_{\mathrm {t}} \ \)は,ワンポイント解説「2.試験電圧」の通り,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {t}}&=&1.25\times E_{\mathrm {m}} \\[ 5pt ]
&=&1.25\times 23 \ 000 \\[ 5pt ]
&=&28 \ 750 \ \mathrm {[ V ] } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。電気設備の技術基準の解釈第15条第1項第2号の通り,直流電圧を加える場合の試験電圧は交流の\( \ 2 \ \)倍であるから,直流試験電圧\( \ V_{\mathrm {td}} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {td}}&=&V_{\mathrm {t}}\times 2 \\[ 5pt ]
&=&28 \ 750\times 2 \\[ 5pt ]
&=&57 \ 500 \ \mathrm {[ V ] } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。また,電気設備の技術基準の解釈第15条第1項第2号の通り,電圧を加える時間は\( \ 10 \ \)分間となる。
以上から試験条件は,交流\( \ 28 \ 750 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間もしくは直流\( \ 57 \ 500 \ \mathrm {[V]} \ \)の試験電圧を\( \ 10 \ \)分間なので,条件を満たす選択肢は(5)となる。