《法規》〈電気事業法〉[H23:問1]電気事業法及び施行規則における電気主任技術者の選任に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の\( \ \mathrm {a} \ \)から\( \ \mathrm {c} \ \)の文章は,自家用電気工作物を設置する\( \ \mathrm {X} \ \)社が,需要設備又は変電所のみを直接統括する同社の\( \ \mathrm {A} \ \),\( \ \mathrm {B} \ \),\( \ \mathrm {C} \ \)及び\( \ \mathrm {D} \ \)事業場ごとに行う電気主任技術者の選任等に関する記述である。ただし,\( \ \mathrm {A} \ \)~\( \ \mathrm {D} \ \)の各事業場は,すべて\( \ \mathrm {Y} \ \)産業保安監督部の管轄区域内のみにある。

「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\( \ \mathrm {a}. \ \)受電電圧\( \ 33 \ \mathrm {[kV]} \ \),最大電力\( \ 12 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)の需要設備を直接統括する\( \ \mathrm {A} \ \)事業場に,\( \ \mathrm {X} \ \)社の従業員で第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者のうちから,電気主任技術者を選任し,遅滞なく,その旨を\( \ \mathrm {Y} \ \)産業保安監督部長に届け出た。

\( \ \mathrm {b}. \ \)最大電力\( \ 400 \ \mathrm {[kW]} \ \)の需要設備を直接統括する\( \ \mathrm {B} \ \)事業場には,\( \ \mathrm {X} \ \)社の従業員で第一種電気工事士試験に合格している者をあてることとして,保安上支障がないと認められたため,\( \ \mathrm {Y} \ \)産業保安監督部長の許可を受けてその者を電気主任技術者に選任した。その後,その電気主任技術者を電圧\( \ 6 \ 600 \ \mathrm {[V]} \ \)の変電所を直接統括する\( \ \mathrm {C} \ \)事業場の電気主任技術者として兼任させた。その際,\( \ \mathrm {B} \ \)事業場への選任の許可を受けているので,\( \ \mathrm {Y} \ \)産業保安監督部長の承認は求めなかった。

\( \ \mathrm {c}. \ \)受電電圧\( \ 6 \ 600 \ \mathrm {[V]} \ \)の需要設備を直接統括する\( \ \mathrm {D} \ \)事業場については,その需要設備の工事,維持及び運用に関する保安の監督に係る業務を委託する契約を\( \ \mathrm {Z} \ \)法人(電気保安法人)と締結し,保安上支障がないものとして\( \ \mathrm {Y} \ \)産業保安監督部長の承認を受けたので,電気主任技術者を選任しないこととした。

\[
\begin{array}{cccc}
& \mathrm {a} & \mathrm {b} & \mathrm {c} \\
\hline
(1) &  不適切  &  適 切  &  適 切  \\
\hline
(2) &  適 切  &  不適切  &  適 切  \\
\hline
(3) &  適 切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
(4) &  不適切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
(5) &  適 切  &  不適切  &  不適切  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気事業法第43条,電気事業法施行規則第52条及び第56条,主任技術者制度の解釈及び運用(内規)からの出題です。
いずれも非常に重要な条文ばかりですが,かなり詳細を理解していないと解けない問題なので,問題としては難易度が高いかと思います。

【解答】

解答:(2)
a.適切
受電電圧\( \ 33 \ \mathrm {[kV]} \ \),最大電力\( \ 12 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)の需要設備は主任技術者制度の解釈及び運用(内規)の通り,電気事業法第43条第2項の要件には該当せず,主任技術者免状の交付を受けている者を主任技術者に選任する必要があり,電気事業法第43条第3項の通り,主任技術者を選任したときは,遅滞なく,その旨を主務大臣に届け出なければなりません。また,電気事業法施行規則第56条の通り,電圧が\( \ 50 \ 000 \ \mathrm {[V]} \)未満なので第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者で良いということになります。

b.不適切
主任技術者制度の解釈及び運用(内規)に規定されている通り,最大電力\( \ 500 \ \mathrm {[kW]} \ \)未満の需要設備には第一種電気工事士試験に合格している者を選任することはできます。しかしながら,電気事業法施行規則第52条第4項の通り,主任技術者に二以上の事業場又は設備の主任技術者を兼務させる場合は,監督に係る事業用電気工作物が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は,管轄する産業保安監督部長の承認を受けなければなりません。

c.適切
電気事業法施行規則第52条第2項4号に規定されている通り,\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \)以下の需要設備を直接統括する事業場については,産業保安監督部長の承認を受ければ,電気主任技術者を選任しないことができます。

<電気事業法第43条>
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
3 a.事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

<電気事業法施行規則第52条(抜粋)>
2 次の各号のいずれかに掲げる自家用電気工作物に係る当該各号に定める事業場のうち、当該自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下「保安管理業務」という。)を委託する契約(以下「委託契約」という。)が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして経済産業大臣(事業場が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は、その所在地を管轄する産業保安監督部長。次項並びに第53条第1項、第2項及び第5項において同じ。)の承認を受けたもの並びに発電所、変電所及び送電線路以外の自家用電気工作物であって鉱山保安法が適用されるもののみに係る前項の表第3号又は第6号の事業場については、同項の規定にかかわらず、電気主任技術者を選任しないことができる。
 一 出力\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の太陽電池発電所であって電圧\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \)以下で連系等をするもの 前項の表第6号の事業場
 二 出力\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所(水力発電所、火力発電所及び風力発電所に限る。)であって電圧\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \)以下で連系等をするもの 前項の表第1号、第2号又は第6号の事業場
 三 出力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所(前2号に掲げるものを除く。)であって電圧\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \)以下で連系等をするもの 前項の表第3号又は第6号の事業場
 四 c.電圧\( \ \color{blue}{\underline {7 \ 000 \ \mathrm {V}}} \)以下で受電する需要設備 前項の表第3号又は第6号の事業場
 五 電圧\( \ 600 \ \mathrm {V} \)以下の配電線路 当該配電線路を管理する事業場

4 b.事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者に二以上の事業場又は設備の主任技術者を兼ねさせてはならない。ただし、事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安上支障がないと認められる場合であって、経済産業大臣(監督に係る事業用電気工作物が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は、その設置の場所を管轄する産業保安監督部長。第53条の2において同じ。)の承認を受けた場合は、この限りでない。

<電気事業法施行規則第56条(抜粋)>
法第44条第5項の経済産業省令で定める事業用電気工作物の工事、維持及び運用の範囲は、次の表の上欄に掲げる主任技術者免状の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
主任技術者免状の種類 & 保安の監督をすることができる範囲 \\
\hline
一 第一種電気主任技術者免状 & 事業用電気工作物の工事、維持及び運用 \\
\hline
二 第二種電気主任技術者免状 & {\displaystyle 電圧170 \ 000 \ \mathrm {V} \ 未満の事業用電気工作}\atop {\displaystyle 物の工事、維持及び運用} \\
\hline
三 第三種電気主任技術者免状 & {\displaystyle 電圧\color{blue}{\underline {\mathrm {a}.50 \ 000 \ \mathrm {V}}} \ 未満の事業用電気工作物}\atop {{\displaystyle (出力\mathrm {5000 \ kW} \ 以上の発電所を除く。)}\atop {\displaystyle の工事、維持及び運用}} \\
\hline
\end{array}
\]

<主任技術者制度の解釈及び運用(内規)(抜粋)>
2.法第43条第2項の許可は、次の基準により行うものとする。
(1)電気主任技術者に係る法第43条第2項の許可は、その申請が次の①及び②の要件に適合し、かつ、自家用電気工作物の工事、維持及び運用の保安上支障がないと認められる場合に限り、行うものとする。
① 電気主任技術者を選任しようとする事業場等が次のいずれかに該当すること。
 イ 次に掲げる設備又は事業場の設置の工事のための事業場
 (イ)出力\( \ 500 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所((ホ)に掲げるものを除く。)
 (ロ)電圧\( \ 10 \ 000 \ \mathrm {V} \)未満の変電所
 (ハ)最大電力\( \ 500 \ \mathrm {kW} \ \)未満の需要設備((ホ)に掲げるものを除く。)((ホ)に掲げるものを除く。)
 (ニ)電圧\( \ 10 \ 000 \ \mathrm {V} \)未満の送電線路
 (ホ)非自航船用電気設備(非自航船に設置される電気工作物の総合体をいう。以下同じ。)であって出力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所又は最大電力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の需要設備
 ロ 次に掲げる設備又は事業場のみを直接統括する事業場
 (イ)出力\( \ 500 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所((ホ)に掲げるものを除く。)
 (ロ)電圧\( \ 10 \ 000 \ \mathrm {V} \)未満の変電所
 (ハ)b.最大電力\( \ \color{blue}{\underline {500 \ \mathrm {kW}}} \ \)未満の需要設備((ホ)に掲げるものを除く。)
 (ニ)電圧\( \ 10 \ 000 \ \mathrm {V} \)未満の送電線路又は配電線路を管理する事業場
 (ホ)非自航船用電気設備であって出力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の発電所又は最大電力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)未満の需要設備
② 電気主任技術者として選任しようとする者が、次のいずれかに該当すること。
 イ 学校教育法による高等学校又はこれと同等以上の教育施設において、電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令第7条第1項各号の科目を修めて卒業した者
 ロ 電気工事士法第3条第1項に規定する第1種電気工事士(ハに掲げる者であって、同法第4条第3項第1号に該当する者として免状の交付を受けた者を除く。)
 ハ 電気工事士法第6条に規定するb.第1種電気工事士試験に合格した者
 ニ 旧電気工事技術者検定規則による高圧電気工事技術者の検定に合格した者
 ホ 公益事業局長又は通商産業局長の指定を受けた高圧試験に合格した者
 へ 最大電力\( \ 100 \ \mathrm {kW} \ \)未満(非自航船用電気設備にあっては最大電力\( \ 300 \ \mathrm {kW} \ \)未満)の需要設備又は電圧\( \ 600 \ \mathrm {V} \)以下の配電線路を管理する事業場のみを直接統括する事業場に係る場合は、イからホまでに掲げる者のほか、次のいずれかに該当する者
 (イ)電気工事士法第3条第2項に規定する第2種電気工事士
 (ロ)学校教育法による短期大学若しくは高等専門学校又はこれらと同等以上の教育施設の電気工学科以外の工学に関する学科において一般電気工学(実験を含む。)に関する科目を修めて卒業した者
 ト イからホまでに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有する者、又はへに規定する場合にあっては、へ(イ)若しくは(ロ)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有する者