《法規》〈電気設備技術基準〉[R05下:問7]分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に無効電力を供給している状態をいう。

(2) 自立運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。

(3) 逆充電とは,分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。

(4) 受動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。

(5) 能動的方式の単独運転検出装置とは,単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第220条からの出題です。
本問自体は過去問からの出題ではありませんが,分散型電源の用語の定義に関する問題は,令和元年問9平成27年問9平成23年問6と何度も出題されています。
必ず全文を理解するようにして下さい。

【解答】

解答:(2)
(1)誤り
 電気設備の技術基準の解釈第220条第1項5号の通り,単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態をいいます。

(2)適切
 電気設備の技術基準の解釈第220条第1項7号の通り,自立運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいいます。

(3)誤り
 電気設備の技術基準の解釈第220条第1項6号の通り,逆充電とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,分散型電源のみが,連系している電力系統を加圧し,かつ,当該電力系統へ有効電力を供給していない状態をいいます。分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れは,逆潮流といいます。

(4)誤り
 電気設備の技術基準の解釈第220条第1項10号の通り,受動的方式の単独運転検出装置とは,単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいいます。

(5)誤り
 電気設備の技術基準の解釈第220条第1項11号の通り,能動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいいます。したがって,(4)と(5)は逆の説明となります

<電気設備の技術基準の解釈第220条>
この解釈において用いる分散型電源の系統連系設備に係る用語であって,次の各号に掲げるものの定義は,当該各号による。

一 発電設備等
 発電設備又は電力貯蔵装置であって,常用電源の停電時又は電圧低下発生時にのみ使用する非常用予備電源以外のもの

二 分散型電源
 電気事業法第38条第4項第四号に掲げる事業を営む者以外の者が設置する発電設備等であって,一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するもの

三 解列
 電力系統から切り離すこと。

四 逆潮流
 分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ

五 (1)単独運転
 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態

六 (3)逆充電
 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,分散型電源のみが,連系している電力系統を加圧し,かつ,当該電力系統へ有効電力を供給していない状態

七 (2)自立運転
 分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態

八 線路無電圧確認装置
 電線路の電圧の有無を確認するための装置

九 転送遮断装置
 遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し,別の構内に設置された遮断器を動作させる装置

十 (4)受動的方式の単独運転検出装置
 単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置

十一 (5)能動的方式の単独運転検出装置
 分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置

十二 スポットネットワーク受電方式 
 \( \ 2 \ \)以上の特別高圧配電線(スポットネットワーク配電線)で受電し,各回線に設置した受電変圧器を介して\( \ 2 \ \)次側電路をネットワーク母線で並列接続した受電方式

十三 二次励磁制御巻線形誘導発電機
 二次巻線の交流励磁電流を周波数制御することにより可変速運転を行う巻線形誘導発電機