《法規》〈電気設備技術基準〉[H30:問4]電気使用場所における異常時の保護対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電気使用場所における異常時の保護対策の工事例である。その内容として,「電気設備技術基準」に基づき,不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路において,適切な箇所に開閉器を施設したが,当該電路における短絡事故により過電流が生じるおそれがないので,過電流遮断器を施設しなかった。

(2) 出退表示灯の損傷が公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがある場合,その出退表示灯に電気を供給する電路に,過電流遮断器を施設しなかった。

(3) 屋内に施設する出力\( \ 100 \ \mathrm {W} \ \)の電動機に,過電流遮断器を施設しなかった。

(4) プール用水中照明灯に電気を供給する電路に,地絡が生じた場合に,感電又は火災のおそれがないよう,地絡遮断器を施設した。

(5) 高圧の移動電線に電気を供給する電路に,地絡が生じた場合に,感電又は火災のおそれがないよう,地絡遮断器を施設した。

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準第63条から第66条までに関する出題です。このような問題である場合に,(4)や(5)のように施設したという選択肢が不適切という事例は少ないと思います。

【解答】

解答:(2)
(1)正しい
 電気設備技術基準第63条第一項にある通り,「低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路」においては過電流遮断器を施設しなければなりませんが,「短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。」となっているので,この選択肢は正しいとなります。

(2)誤り
 電気設備技術基準第63条第ニ項にある通り,「出退表示灯その他のその損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるもの」においては「過電流遮断器を施設」しなければなりません。したがって,本選択肢は誤りとなります。

(3)正しい
 電気設備技術基準第65条にある通り,「出力が〇・二キロワット以下のもの」(\( \ 200 \ \mathrm {W} \ \)以下のもの)においては過電流遮断器を施設する必要はありません。

(4)正しい
 電気設備技術基準第64条にある通り,「プール用水中照明灯」には地絡が生じた場合に、「感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設」をします。

(5)正しい
 電気設備技術基準第66条第二項にある通り,「高圧の移動電線又は接触電線」には地絡が生じた場合に、「感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設」をします。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第63条>
低圧の幹線、(1)低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路及び引込口から低圧の幹線を経ないで電気機械器具に至る低圧の電路(以下この条において「幹線等」という。)には、適切な箇所に開閉器を施設するとともに、過電流が生じた場合に当該幹線等を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。ただし、当該幹線等における(1)短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。

2 交通信号灯、(2)出退表示灯その他のその(2)損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるもの(2)過電流遮断器を施設しなければならない

<電気設備に関する技術基準を定める省令第64条>
ロードヒーティング等の電熱装置、(4)プール用水中照明灯その他の一般公衆の立ち入るおそれがある場所又は絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、(4)地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第65条>
屋内に施設する電動機((3)出力が〇・二キロワット以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第66条>
(5)高圧の移動電線又は接触電線(電車線を除く。以下同じ。)に電気を供給する電路には、過電流が生じた場合に、当該高圧の移動電線又は接触電線を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。

2 前項の電路には、(5)地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、(5)地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。