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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
自動制御系には,フィードフォワード制御系とフィードバック制御系がある。
常に制御対象の\( \ \fbox { (ア) } \ \)に着目し,これを時々刻々検出し,\( \ \fbox { (イ) } \ \)との差を生じればその差を零にするような操作を制御対象に加える制御が\( \ \fbox { (ウ) } \ \)制御系である。外乱によって\( \ \fbox { (ア) } \ \)に変動が生じれば,これを検出し修正動作を行うことが可能である。この制御システムは\( \ \fbox { (エ) } \ \)を構成するが,一般には時間的な遅れを含む制御対象を\( \ \fbox { (エ) } \ \)内に含むため,安定性の面で問題を生じることもある。しかしながら,はん用性の面で優れているため,定値制御や追値制御を実現する場合,基本になる制御である。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 操作量 & 入力信号 & フィードフォワード & 閉ループ \\
\hline
(2) & 制御量 & 目標値 & フィードフォワード & 開ループ \\
\hline
(3) & 操作量 & 目標値 & フィードバック & 開ループ \\
\hline
(4) & 制御量 & 目標値 & フィードバック & 閉ループ \\
\hline
(5) & 操作量 & 入力信号 & フィードバック & 閉ループ \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
自動制御のフィードバック制御とフィードフォワード制御に関する問題です。
フィードバック制御は起こってから調整する制御で,フィードフォワード制御は起こる前に予測して行う制御です。身近なところでは車間距離を一定に保つ自動車のクルーズコントロール等もフィードフォワード制御がないと実現できない技術かと思います。
1.自動制御の分類
①フィードバック制御
制御量と目標値を比較して,それらを一致させるように操作量を決定する制御です。
例えば汽力発電所の蒸気温度制御や蒸気圧力制御,給水の流量制御等があります。
②フィードフォワード制御
目標値,外乱等の情報から,操作量を決定する制御です。
フィードバック制御では外乱が発生してから対応するため,制御動作が遅くなりやすい性質がありますが,フィードフォワード制御により外乱が発生する前に予測し操作量を決定することが可能となります。
通常フィードバック制御に補償回路を挿入したようなロジック回路が組まれます。
③シーケンス制御
あらかじめ定められた論理回路の順序に従い,各段階を逐次進めていく制御で,以下の二つの種類があります。例えばエレベータ等はシーケンス制御となります。
a.リレーシーケンス
接点を有する電磁継電器を用いたシーケンスで有接点シーケンスともいいます。
b.ロジックシーケンス
半導体論理素子をスイッチとして利用したシーケンスで無接点シーケンスともいいます。
【解答】
解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.自動制御の分類」の通り,フィードバック制御は常に制御対象の制御量に着目し,制御量に変動が生じれば修正動作を行う制御です。
(イ)
ワンポイント解説「1.自動制御の分類」の通り,フィードバック制御は常に制御対象の制御量に着目し,目標値との差を生じればその差(偏差)を零にするような操作を加える制御となります。
(ウ)
ワンポイント解説「1.自動制御の分類」の通り,問題文の制御はフィードバック制御です。
(エ)
下図の通り,フィードバック制御は閉ループを構成して実現します。