《機械》〈電気機器〉[H22:問9]真空遮断器の構造とその特徴及び用途に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

真空遮断器\( \ \left( \mathrm {VCB} \right) \ \)は\( \ 10^{-5} \ \mathrm {[MPa]} \ \)以下の高真空中での高い\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)と強力な拡散作用による\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)を利用した遮断器である。遮断電流を増大させるために適切な電極材料を使用するとともに,アークを制御することで電極の局部過熱と溶融を防いでいる。電極部は\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)と呼ばれる容器に収められており,接触子の周囲に円筒状の金属製シールドを設置することで,電流遮断時のアーク (電極から蒸発した金属と電子によって構成される)が真空中に拡散し絶縁筒内面に付着して絶縁が低下しないようにしている。真空遮断器は,アーク電圧が低く電極の消耗が少ないので長寿命であり,多頻度の開閉用途に適していることと,小形で簡素な構造,保守が容易などの特徴があり,\( \ 24 \ \mathrm {[kV]} \ \)以下の電路において広く使用されている。一方で他の遮断器に比べ電流遮断時に発生するサージ電圧が高いため,電路に接続された機器を保護する目的でコンデンサと抵抗を直列に接続したもの又は\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)を遮断器前後の線路導体と大地との間に設置する場合が多い。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  冷却能力  &  消弧能力  &  空気容器  &  リアクトル  \\
\hline
(2) &  絶縁耐力  &  消弧能力  &  真空容器  &  リアクトル  \\
\hline
(3) &  消弧能力  &  絶縁耐力  &  空気容器  &  避雷器  \\
\hline
(4) &  絶縁耐力  &  消弧能力  &  真空容器  &  避雷器  \\
\hline
(5) &  消弧能力  &  絶縁耐力  &  真空容器  &  避雷器  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

真空遮断器の構造と用途に関する問題です。
(ア)~(ウ)は真空遮断器の構造,(エ)はその用途となり,(エ)の開閉サージ電圧に関してはどちらかというと電力科目に近い内容かなという印象です。

1.真空遮断器の特徴
・高真空に保った真空バルブ内で電極を開閉するため,高い絶縁耐力と拡散作用で遮断性能が高い。
・構造が簡単であるため,小形で軽量となり,メンテナンスも容易である。
・電極の消耗が少ないため,寿命が長い。
・密閉構造であり,遮断時の騒音が小さい。
・\( \ 22 \ \mathrm {kV} \ \)以下の系統で主流となっている。(さらに上の電圧階級でも採用はあります。)


出典:一般財団法人 中部電気保安協会 HP
https://www.ces.or.jp/security/technology/deterioration.html

2.避雷器の電圧―電流特性
避雷器に扱われる炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子と酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の電圧―電流特性を図1に示します。
図1のように酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))は一般的な抵抗と異なり電圧と電流が比例せず,非線形抵抗特性と呼ばれます。
炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子単体では通常運転時でも電流が流れてしまう反面,酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の場合通常電圧時では電流が流れないため,近年では酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子が多く採用されています。

【解答】

解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.真空遮断器の特徴」の通り,真空遮断器は絶縁耐力及び消弧能力が高い遮断器ですが,絶縁耐力が高くなっている要因は高真空であることとなります。

(イ)
ワンポイント解説「1.真空遮断器の特徴」の通り,真空遮断器は拡散採用による高い消弧能力を利用した遮断器となります。

(ウ)
ワンポイント解説「1.真空遮断器の特徴」の通り,真空遮断器の電極部は真空容器(真空バルブ)と呼ばれる容器に収められています。

(エ)
真空遮断器の開閉に伴い発生する過電圧(開閉サージ)が高いことが懸念される場合には,避雷器を用いて接続される機器を保護することがあります。