《機械》〈電子理論(理論)〉[H24:問13]演算増幅器を使った回路に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図は演算増幅器を使った回路である。入力電圧\( \ {\dot V}_{1} \ \mathrm {[V]} \ \)に対する出力電圧\( \ {\dot V}_{2} \ \mathrm {[V]} \ \)の比の値として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,演算増幅器は理想的(入力インピーダンスは無限大,増幅度は無限大,出力インピーダンスは零)であるとし,入力電圧,出力電圧ともに演算増幅器の動作範囲内であるとする。

 (1) \(-12\)  (2) \(-10\)  (3) \(10\)  (4) \(12\)  (5) \(13\) 

【ワンポイント解説】

機械科目としては大変珍しい演算増幅器からの出題です。理論をしっかりと勉強されている方であればサービス問題となると思いますが,演算増幅器をあまり習熟されていない方には非常に厳しい問題となったと思います。

1.理想的な演算増幅器の特徴
 1.電圧増幅率が無限大である。したがって,無限大でない有限数が出力される時,入力端子間の電圧は\( \ 0 \ \mathrm {V} \ \)(バーチャルショート)となる。
 2.入力インピーダンスが無限大である。したがって入力端子に電流は流れない。
 3.出力インピーダンスがゼロである。

【解答】

解答:(5)
ワンポイント解説「1.理想的な演算増幅器の特徴」より,入力端子間電圧は\( \ 0 \ \mathrm {V} \ \)なので,−端子側の端子電圧は\( \ {\dot V}_{1} \ \mathrm {[V]} \ \)である。
\( \ R_{1} \ \)にかかる電圧は\( \ {\dot V}_{1} \ \mathrm {[V]} \ \)なので,\( \ R_{1} \ \)を流れる電流\( \ {\dot I}_{1} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
{\dot I}_{1} &=&\frac {{\dot V}_{1}}{R_{1}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。ワンポイント解説「1.理想的な演算増幅器の特徴」より,入力端子には電流が流れないので,\( \ R_{1} \ \)を流れる電流と\( \ R_{2} \ \)を流れる電流は等しい。したがって,出力電圧\( \ {\dot V}_{2} \ \mathrm {[V]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
{\dot V}_{2} &=&R_{2}{\dot I}_{1}+{\dot V}_{1} \\[ 5pt ] &=&R_{2}\cdot \frac {{\dot V}_{1}}{R_{1}}+{\dot V}_{1} \\[ 5pt ] &=&\frac {R_{2}}{R_{1}}\cdot {\dot V}_{1}+{\dot V}_{1} \\[ 5pt ] &=&\frac {R_{1}+R_{2}}{R_{1}}\cdot {\dot V}_{1} \\[ 5pt ] &=&\frac {10+120}{10}\cdot {\dot V}_{1} \\[ 5pt ] &=&13 {\dot V}_{1} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。