《機械》〈回転機〉[H27:問3]誘導機に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

誘導機に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 三相かご形誘導電動機の回転子は,積層鉄心のスロットに棒状の導体を差し込み,その両端を太い導体環で短絡して作られる。これらの導体に誘起される二次誘導起電力は,導体の本数に応じた多相交流である。

(2) 三相巻線形誘導電動機は,二次回路にスリップリングを通して接続した抵抗を加減し,トルクの比例推移を利用して滑りを変えることで速度制御ができる。

(3) 単相誘導電動機はそのままでは始動できないので,始動の仕組みの一つとして,固定子の主巻線とは別の始動巻線にコンデンサ等を直列に負荷することによって回転磁界を作り,回転子を回転させる方法がある。

(4) 深溝かご形誘導電動機は,回転子の深いスロットに幅の狭い平たい導体を押し込んで作られる。このような構造とすることで,回転子導体の電流密度は定常時に比べて始動時は導体の外側(回転子表面側)と内側(回転子中心側)で不均一の度合いが増加し,等価的に二次導体のインピーダンスが増加することになり,始動トルクが増加する。

(5) 二重かご形誘導電動機は回転子に内外二重のスロットを設け,それぞれに導体を埋め込んだものである。内側(回転子中心側)の導体は外側(回転子表面側)の導体に比べて抵抗値を大きくすることで,大きな始動トルクを得られるようにしている。 

【ワンポイント解説】

誘導機の原理を理解しているかを問う良問と思います。問題文が長いですが,誤りはきちんと理解している方であれば見つけやすいので,知識がそのまま点数差に結び付く問題と言えそうです。

1.特殊かご形電動機
①深溝かご形電動機
深溝かご形回転子の概要を図1に示します。図1に示すように深溝かご形回転子は回転子に深いスロットを設け,そこに導体を入れたような構造となっています。始動時回転子内の漏れ磁束は外側ほど小さくなり,始動時ほとんどの電流が導体の外側を流れ,抵抗が大きくなります。その後回転数が上がると,電流は一様に分布するようになり,抵抗が小さくなります。

②二重かご形電動機
二重かご形回転子の概要を図2に示します。図に示すように,二重かご形回転子は,内側と外側に二つの導体を入れ,外側の方を小さく,すなわち高抵抗となるようにします。始動時,深溝かご形回転子と同様に,外側ほど漏れ磁束が小さいので,ほとんどの電流が外側を流れます。その後,回転数が大きくなると,低抵抗である内側の導体を流れるようになります。

【解答】

解答:(5)
(1):正しい
かご形誘導電動機の説明そのものです。両端の太い導体環を短絡環と言います。

(2):正しい
巻線形誘導電動機はスリップリングの二次側に外部抵抗を接続することができ,合成抵抗が\(n\)倍になった時,滑りを\(n\)倍にすれば同トルクを得られます。

(3):正しい
単相誘導電動機の始動法の一つ,コンデンサ分相始動法に関する記述です。他にもくま取りコイル形や反発始動形等がありますが,三種では出題が少ない内容であると思います。

(4):正しい
ワンポイント解説の通り始動時の回転子内の漏れ磁束は外側が少なく,始動時にほとんどの電流が外側を流れ,始動トルクが増加します。

(5):誤り
始動時はほとんどの電流が外側に流れますが,外側の導体を内側の導体に比べて抵抗値を大きくすることで大きな始動トルクを得られるようにしています。