Contents
【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,三相同期発電機に関する記述である。
三相同期発電機は,水車を原動機とする水車発電機や,蒸気タービンを原動機とするタービン発電機などに用いられている。水車発電機では,水車の回転速度が比較的\( \ \fbox { (ア) } \ \)ため,発電機の極数を\( \ \fbox { (イ) } \ \)しなければならない。また,水車発電機の回転子は,軸方向に比べて直径が\( \ \fbox { (ウ) } \ \)なっている。
タービン発電機の回転子は,水車発電機に比べて回転速度が\( \ \fbox { (エ) } \ \)ので,回転子の機械的強度の関係から,回転子の直径は軸方向の長さに比べて\( \ \fbox { (オ) } \ \)した設計になっている。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 小さい & 小さく & 大きく & 大きい & 大きく \\
\hline
(2) & 小さい & 大きく & 大きく & 大きい & 小さく \\
\hline
(3) & 小さい & 大きく & 大きく & 小さい & 大きく \\
\hline
(4) & 大きい & 大きく & 小さく & 大きい & 小さく \\
\hline
(5) & 大きい & 小さく & 小さく & 小さい & 大きく \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
水車発電機とタービン発電機の特徴と違いに関する問題です。
どちらかというと機械科目よりも電力科目で学習する内容ですが,同期機という意味で機械科目にも含まれるため出題されることがあります。
回転速度が\( \ 1 \ \)秒間どれくらいになるかイメージする(例:\( \ 3 \ 600 \ \mathrm {min}^{-1}=60 \ \mathrm {s}^{-1} \ \))となぜ形状を工夫するべきか理解しやすいかと思います。
1.水車発電機とタービン発電機の比較
水車発電機は回転速度を大きくしすぎるとキャビテーションの発生等により振動が発生したり,エロ―ジョンが発生したりするため,回転速度を大きくするには限界があります。一方,タービン発電機は発電機をできるだけ軽量かつコンパクトにして経済的にするため,回転速度を大きくします。この特徴の違いにより,以下の表のような違いがあります。
\[
\begin{array}{|c|c|c|}
\hline
& 水車発電機 & タービン発電機 \\
\hline
回転速度(\mathrm {min}^{-1}) & 100~1 \ 200 & 1 \ 500~3 \ 600 \\
\hline
極数 & 6~32 & 2~4 \\
\hline
回転子 & 突極形 & 円筒形 \\
\hline
軸方向 & 縦 & 横 \\
\hline
短絡比 & 大きい & 小さい \\
\hline
同期インピーダンス & 小さい & 大きい \\
\hline
電圧変動率 & 小さい & 大きい \\
\hline
安定度 & 高 い & 低 い \\
\hline
線路充電容量 & 大きい & 小さい \\
\hline
\end{array}
\]
【解答】
解答:(2)
(ア)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,水車発電機の水車の回転速度は蒸気タービンに比べると小さいです。
(イ)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,水車発電機の極数は大きくする必要があります。同期速度\( \ N_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \ \)は周波数\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \),極数\( \ p \ \)とすると,\( \ \displaystyle N_{\mathrm {s}}=\frac {120f}{p} \ \)となり,極数と反比例の関係があります。
(ウ)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,水車発電機の回転子は,軸方向に比べ直径が大きく,突極形になっています。
(エ)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,タービン発電機の回転子は,水車発電機に比べて回転速度が大きいです。
(オ)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,タービン発電機の回転子の直径は,軸方向の長さに比べて小さくした円筒形になっています。