《理論》〈電磁気〉[H23:問1]静電界における電気力線や電界、電荷に関する論説問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

静電界に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 電気力線は,導体表面に垂直に出入りする。

(2) 帯電していない中空の球導体\( \ \mathrm {B} \ \)が接地されていないとき,帯電した導体\( \ \mathrm {A} \ \)を導体\( \ \mathrm {B} \ \)で包んだとしても,導体\( \ \mathrm {B} \ \)の外部に電界ができる。

(3) \( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \)の電荷から出る電束の数や電気力線の数は,電荷を取り巻く物質の誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)によって異なる。

(4) 導体が帯電するとき,電荷は導体の表面にだけ分布する。

(5) 導体内部は等電位であり,電界は零である。

【ワンポイント解説】

電気力線や電束の性質に関する問題です。
電験\( \ 3 \ \)種では比較的出題されやすい内容の問題です。特に誤答の選択肢は,電磁気としては非常に重要な概念となるので,本問で理解しておくようにしましょう。

1.電気力線の特徴
電気力線は正電荷から負電荷に向かう仮想の線で,以下のような特徴があります。言葉ではなく図で覚えておいて,内容を理解した方が良いと思います。
①電気力線の本数は電荷\( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \),誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)を用いると,\( \ \displaystyle \frac {Q}{\varepsilon } \ \)本である。
②電気力線は正電荷から垂直に出て,負電荷に垂直に入る。
③電気力線同士は反発し合う。
④電気力線は枝分かれしたり,交差したりしない。
⑤電気力線の向きは電界の向きと一致し,電気力線の密度は電界の大きさに比例する。

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,電気力線は正電荷の導体表面から垂直に出て,負電荷の導体表面にを垂直に入ります。

(2)正しい
図2のように,帯電した導体\( \ \mathrm {A} \ \)の周りを帯電していない導体\( \ \mathrm {B} \ \)で包むと,静電誘導により導体\( \ \mathrm {B} \ \)の内側に負の電荷が誘起され,外側に正の電荷が誘起されます。したがって,導体\( \ \mathrm {B} \ \)の外側には電界(電気力線)が現れます。

(3)誤り
電束も電気力線も図1のように描くことが可能ですが,電気力線が電荷\( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \)及び誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)を用いて\( \ \displaystyle \frac {Q}{\varepsilon } \ \)本なのに対して,電束は\( \ Q \ \)本となります。したがって,電束は誘電率\( \ \underline {\varepsilon \ \mathrm {[F/m]}} \ \)によって変化しません。

(4)正しい
導体が帯電するとき導体内で電荷同士が反発し合いできるだけ距離を置こうと表面付近に移動するため,結果的に電荷は導体表面に帯電されます。

(5)正しい
導体内部は等電位であり,電界は零となります。したがって,図2においても導体内の電気力線は描かれていません。