《理論》〈電磁気〉[R05上:問2]静電界における電気力線の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

静電界に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 媒質中に置かれた正電荷から出る電気力線の本数は,その電荷の大きさに比例し,媒質の誘電率に反比例する。

(2) 電界中における電気力線は,相互に交差しない。

(3) 電界中における電気力線は,等電位面と直交する。

(4) 電界中のある点の電気力線の密度は,その点における電界の強さ(大きさ)を表す。

(5) 電界中に置かれた導体内部の電界の強さ(大きさ)は,その導体表面の電界の強さ(大きさ)に等しい。

【ワンポイント解説】

静電界における電気力線と導体内部の電界に関する問題です。
電気力線の特徴と静電遮へいの内容を理解していれば正答が導き出せるかと思います。
やや古い過去問となりますが平成13年問2に全く同じ問題が出題されています。

1.電気力線の特徴
電気力線は正電荷から負電荷に向かう仮想の線で,以下のような特徴があります。言葉ではなく図で覚えておいて,内容を理解した方が良いと思います。
①電気力線の本数は電荷\( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \),誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)を用いると,\( \ \displaystyle \frac {Q}{\varepsilon } \ \)本である。
②電気力線は正電荷から垂直に出て,負電荷に垂直に入る。
③電気力線同士は反発し合う。
④電気力線は枝分かれしたり,交差したりしない。
⑤電気力線の向きは電界の向きと一致し,電気力線の密度は電界の大きさに比例する。

2.静電遮へい
図2のように一様電界中に空洞がある導体を置くと静電誘導により導体内の電位は等しくなり,導体内部空間も電位差がなく電界が零になるというものです。よって,導体及び空洞の電気力線はないという性質があります。
このように物体を導体で囲んで外部の電界を遮へいできるため,静電遮へいと呼ばれます。

【解答】

解答:(5)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,媒質中に置かれた正電荷から出る電気力線の本数は,その電荷の大きさに比例し,媒質の誘電率に反比例します。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,電界中における電気力線は,相互に交差しません。

(3)正しい
問題文の通り,電界中における電気力線は,等電位面と直交する特徴があります。

(4)正しい
ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,電界中のある点の電気力線の密度は,その点における電界の強さ(大きさ)を表します。

(5)誤り
ワンポイント解説「2.静電遮へい」の通り,導体内部の電界の強さ(大きさ)は零となり,その導体表面の電界の強さ(大きさ)と異なります。