《理論》〈電気及び電子計測〉[R06上:問14]代表的な電気計器の目的や特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

電気計器に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) クランプメータは,電線に流れる電流による磁界をはかることで電流が測定できるため,磁界が打ち消し合うように電線\( \ 1 \ \)本のみをクランプする。

(2) 電子電圧計は,増幅器と可動コイル形計器を組み合わせたもので,内部抵抗が小さく,電圧の測定範囲が数\( \ \mu \mathrm {V} \ \)から\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)程度である。

(3) ホイートストンブリッジは抵抗を精密に測定できる。

(4) 接地抵抗計は,屋内配線や機器などの絶縁抵抗を測定する。

(5) 絶縁抵抗計は,接地電極と大地との間の抵抗を測定する。

【ワンポイント解説】

代表的な電気計器の目的や特徴を問う問題です。
やや深い内容であるため,電験としては厳しい問題かもしれませんが,比較的正答が見つけやすいのが救いかなと思います。
現場等で使用されたことがある方はよくわかる内容かと思います。

1.クランプメータ
電線に電流が流れることにより発生する磁界を測定して,電線に流れる電流を求める計器です。
電流計のように電線を接続部で繋ぎ変える必要がないため,簡易的な測定としては非常に便利な計器です。
図1に示すように,複数線路がある場合には,磁界が打ち消し合わないように,電線\( \ 1 \ \)本で計測します。また,測定する電線はクランプの中央部を通すと精度が高くなります。

2.電子電圧計
増幅器と計測計器を組み合わせた電圧計で,入力抵抗を非常に大きくすることができ,数\( \ \mu \mathrm {V} \ \)の微小な電圧も測定することが可能な計器です。


出典:株式会社テクシオ・テクノロジー HP
URL:https://www.texio.co.jp/product/detail/58

3.ホイートストンブリッジ
ホイートストンブリッジは未知の抵抗の抵抗値を高精度で求める方法で直流ブリッジ回路の平衡条件を利用しています。
図3の回路において,検出器\( \ Ⓓ \ \)に電流が流れない条件を平衡条件と言い,
\[
\begin{eqnarray}
R_{1}R_{4} &=& R_{2}R_{3} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。したがって,3つの既知の抵抗(1つは可変抵抗)があれば,残りの1つの抵抗値を求めることができます。

4.接地抵抗計
接地電極と大地間の接地抵抗を測定する計器です。
図3のような構成であり,詳細な原理は割愛いたしますが,測定対象である接地電極\( \ \mathrm {E} \ \)の接地抵抗値\( \ R_{\mathrm {e}} \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)を交流ブリッジ回路の平衡条件を利用して導出します。

5.絶縁抵抗計
配線や機器等の絶縁抵抗を測定する機器です。
図4に示すように,機器と大地間の絶縁を測定する場合には一方の電極を接地,もう一方の電極を電路につけ,漏れ電流から絶縁抵抗を求めます。
簡易的に絶縁不良を測定できる方法ですがこの測定のみで良否は判断せず,異常があった場合には他の診断方法で良否を判断します。

【解答】

解答:(3)
(1)誤り
ワンポイント解説「1.クランプメータ」の通り,クランプメータは,電線に流れる電流による磁界をはかることで電流が測定でき,磁界が打ち消し合わないように電線\( \ 1 \ \)本でクランプします。

(2)誤り
ワンポイント解説「2.電子電圧計」の通り,増幅器と可動コイル形計器を組み合わせたもので,内部抵抗が大きく,電圧の測定範囲が数\( \ \mu \mathrm {V} \ \)から\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)程度となります。

(3)正しい
ワンポイント解説「3.ホイートストンブリッジ」の通り,ホイートストンブリッジはブリッジ回路の平衡条件を利用して,抵抗を精密に測定できます。

(4)誤り
ワンポイント解説「4.接地抵抗計」の通り,接地抵抗計は,接地電極と大地との間の抵抗を測定する計器です。

(5)誤り
ワンポイント解説「5.絶縁抵抗計」の通り,絶縁抵抗計は,屋内配線や機器などの絶縁抵抗を測定する計器です。