《機械》〈回転機〉[H23:問2] 揚水発電所用可変速発電電動機に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,揚水発電所用可変速発電電動機に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

揚水発電所は,夜間の余剰電力で揚水し,昼間の電力消費ピーク時に発電することで昼夜間の負荷の平準化に寄与している。負荷追従運転を行わない発電所の比率が増大し,電力消費の少ない夜間において発電電力が負荷に追従できない場合には,\(\fbox {  (1)  }\)を維持するために負荷調整する必要がある。この負荷調整方法として,揚水運転時に入力を調整できる可変速揚水発電システムが導入されている。この可変速駆動方式としては,大容量化が可能であること及び同期機としての機能をもっていることなどの要求から,発電電動機の回転子を交流励磁する\(\fbox {  (2)  }\)が主流になっている。

可変速発電電動機の固定子は従来の発電電動機と同一の構造をもつが,回転子は磁極の代わりに\(\fbox {  (3)  }\)をもち,スリップリングを介して三相交流電流によって励磁される。回転速度が変化しても励磁周波数を固定子周波数と回転速度との\(\fbox {  (4)  }\)の周波数を制御することで,回転子で発生する磁束を常に系統の周波数に同期させることができるため,同期機としての特性をもった運転を行うことが可能となる。

三相交流電流を回転子に供給する励磁装置には,サイリスタを使用したサイクロコンバータ又はゲートターンオフサイリスタ(GTO)などを用いたインバータが用いられている。

可変速揚水発電システムは,揚水運転時の入力調整機能のほかに,回転子の\(\fbox {  (5)  }\)によって蓄えられる回転エネルギーも有効電力として入出力が可能である。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 三相分布巻線   &(ロ)& 静電容量   &(ハ)& 一次周波数制御方式 \\[ 5pt ] &(ニ)& 和    &(ホ)& 直流巻線   &(ヘ)& 二次励磁方式 \\[ 5pt ] &(ト)& 系統電圧   &(チ)& 積   &(リ)& 系統負荷 \\[ 5pt ] &(ヌ)& インピーダンス   &(ル)& はずみ車効果   &(ヲ)& 差 \\[ 5pt ] &(ワ)& 系統周波数   &(カ)& 界磁巻線   &(ヨ)& 直流励磁方式
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

可変速揚水発電システムは下図の通りです。二次励磁装置により固定子と回転子の差の周波数(回転数)をコントロールし,系統の周波数を調整します。
これはこれまで石油火力や天然ガス火力で調整していた系統周波数の調整を揚水発電所で行おうとするもので,発電運転している時のみでなく揚水運転している夜間も行うことができます。
これにより,火力発電所の燃料費を抑え,全体として経済的な運用を行うことができます。
可変速揚水発電システムは頻出問題になりますのでよく理解しておきましょう。

【用語の解説】

(イ)三相分布巻線
 可変速揚水発電システムの大きな特徴として回転子巻線を固定子巻線同様三相分布巻線とし,交流励磁している。

(ハ)一次周波数制御方式
 誘導電動機に使用される方式で電源の周波数を制御して回転速度を変化させるものです。その際励磁電流を一定にするため電源電圧を変化させるV/F一定制御を行います。

(ホ)直流巻線
 従来の水力発電所採用されている直流励磁で使用される巻線。

(ヘ)二次励磁方式
 図の通り可変速揚水発電システムで導入されている励磁方式。

(ル)はずみ車効果
 慣性モーメントと同義の言葉。回転体の回転の慣性力。式は\(GD^{2}\)(\(G\):回転体の質量,\(D\):回転体の直径)。コマで考えればイメージがつきやすいと思います。(大きくて重いコマほど一度回転すれば安定して回転します。)

(ヨ)直流励磁方式
 従来の水力発電所の突極機で採用されている励磁方式。

【解答】

(1)解答:ワ
 文脈から解答候補は(ト)系統電圧,(リ)系統負荷,(ワ)系統周波数になると思います。可変速発電電動機は(ワ)系統周波数を調整するものです。(ト)系統電圧を調整できるのはは分路リアクトルや電力用コンデンサ,同期調相機です。(リ)系統負荷は電源側では調整できません。

(2)解答:ヘ
 解答候補は(ハ)一次周波数制御方式,(ヘ)二次励磁方式,(ヨ)直流励磁方式です。可変速発電電動機で採用されているのは(ヘ)二次励磁方式です。

(3)解答:イ
 解答候補は,(イ)三相分布巻線,(ホ)直流巻線,(カ)界磁巻線となります。このうち(カ)界磁巻線は間違いではないかもしれませんが,可変速発電電動機の大きな特徴は回転子の(イ)三相分布巻線で、これが最も適切です。

(4)解答:ヲ
 解答候補は,(ニ)和,(チ)積,(ヲ)差となります。励磁周波数でコントロールするのは図の\(N\)と\(N_{1}\)の差の値です。

(5)解答:ル
 解答候補が(ロ)静電容量,(ヌ)インピーダンス,(ル)はずみ車効果となりますが,回転エネルギーを蓄積するのは(ル)はずみ車効果です。



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