《理論》〈電子理論〉[H25:問6]電子のサイクロトロン共鳴に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電子のサイクロトロン共鳴に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

速度\( \ v \ \),質量\( \ m \ \),単位電荷\( \ q \ \)を持つ電子を進行方向と垂直の磁場\( \ B \ \)のなかに入れると,フレミングの左手の法則に従って,電荷の進む方向と磁場の両者に対して直角のローレンツ力を受け,その大きさは\( \ qvB \ \)である。この力により,電子は等速円運動を始めるが,等速円運動の向心力は,円運動の半径を\( \ r \ \)とすれば\( \ \fbox {  (1)  } \ \)となる。これが\( \ qvB \ \)と等しいことから,半径は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)となる。

さて静止している電子を速度\( \ v \ \)まで加速するのに必要な電圧を\( \ V \ \)とする。この\( \ V \ \)を用いると速度\( \ v \ \)は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)となる。そこで電子をある半径\( \ r \ \)で等速円運動をさせるときに必要な電子のエネルギーに相当する電圧は\( \ \fbox {  (4)  } \ \)となる。

一方,この等速円運動は応用においてはその各周波数(サイクロトロン角周波数:単位時間当たりの回転角度)が重要であるが,これは\( \ \fbox {  (5)  } \ \)となる。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& -\frac {2\pi qB}{m}     &(ロ)& \sqrt {\frac {qV}{2m}}     &(ハ)& \frac {qBr}{m} \\[ 5pt ] &(ニ)& \frac {mv}{r}   &(ホ)& mrv^{2}   &(ヘ)& \sqrt {\frac {qB^{2}}{2mV}} \\[ 5pt ] &(ト)& \sqrt {\frac {2qV}{m}}   &(チ)& \frac {qB^{2}r^{2}}{2m}   &(リ)& \sqrt {\frac {V}{2qm}}  \\[ 5pt ] &(ヌ)& \frac {v}{qmB}   &(ル)& qrB   &(ヲ)& \frac {mv}{qB} \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {mv^{2}}{r}   &(カ)& \frac {qB}{mv}    &(ヨ)& \frac {qB}{m} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電子の磁場中での運動は問題がほぼパターン化されています。基本公式をきちんと理解して完答できるようにしましょう。

1.フレミングの左手の法則
中指を電流の向き,人差し指を磁界の向きに合わせると,親指の方向に力が働くという法則で,頭文字を取って「電磁力」と覚えます。
この理論は磁場中の電子の運動理論にも応用でき,電子の進む方向と逆方向が電流の向きとすると,図2のように中心に向かう力がかかり,電子の円運動が発生するようになります。
その中心に向かう力の大きさ\( \ F \ \)は,電子の電荷を\( \ -e \ \),電子の速度を\( \ v \ \),磁束密度の大きさを\( \ B \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
F &=&evB \ \mathrm {[N]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

【解答】

(1)解答:ワ
等速円運動において,中心に向かう向心力の大きさ\( \ F \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
F &=&\frac {mv^{2}}{r} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(2)解答:ヲ
ローレンツ力と向心力の大きさが等しいことから,
\[
\begin{eqnarray}
qvB &=&\frac {mv^{2}}{r} \\[ 5pt ] r &=&\frac {mv}{qB}    ・・・・・・・・・・ ① \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)解答:ト
静止している電子を速度\( \ v \ \)まで加速するのに必要な電圧を\( \ V \ \)とした時,そのエネルギーの大きさ\( \ E \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\frac {1}{2}mv^{2} \\[ 5pt ] E &=&qV \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] とそれぞれ表すことができるため,この\( \ 2 \ \)式から,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {1}{2}mv^{2} &=&qV \\[ 5pt ] v^{2} &=&\frac {2qV}{m} \\[ 5pt ] v &=&\sqrt {\frac {2qV}{m}}  ・・・・・・・・・・ ② \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(4)解答:チ
②を\( \ V \ \)について整理すると,
\[
\begin{eqnarray}
V &=&\frac {mv^{2}}{2q}      \ ・・・・・・・・・・ ③ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。①を\( \ v \ \)について整理すると,
\[
\begin{eqnarray}
v &=&\frac {qBr}{m}      ・・・・・・・・・・ ④ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,これを③に代入すると,
\[
\begin{eqnarray}
V &=&\frac {m}{2q} \left( \frac {qBr}{m}\right) ^{2} \\[ 5pt ] &=&\frac {qB^{2}r^{2}}{2m} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(5)解答:ヨ
角周波数を\( \ \omega \ \)とすると,\( \ v=r\omega \ \)の関係があるため,この関係式と④より,
\[
\begin{eqnarray}
\omega &=&\frac {v}{r} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle \frac {qBr}{m}}{r} \\[ 5pt ] &=&\frac {qB}{m} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。



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