《理論》〈電子計測〉[H29:問7]金属の熱電子放出に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,金属の熱電子放出に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

金属を高温に熱すると,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)より大きな熱エネルギーをもった固体内の電子が真空中に飛び出してくる熱電子放出が顕著になる。いま,真空中に金属の電極\( \ \mathrm {A} \ \),電極\( \ \mathrm {B} \ \)を配置し,電極\( \ \mathrm {B} \ \)を接地する。ここで電極\( \ \mathrm {A} \ \)に電圧\( \ V \ \)を印加し,電極\( \ \mathrm {A} \ \)を加熱すると、電圧\( \ V \ \)が\( \ \fbox {  (2)  } \ \)の場合には,電極\( \ \mathrm {A} \ \)から放出された熱電子は印加電界によって誘引されて電極\( \ \mathrm {B} \ \)で収集され,熱電子放出電流として計測される。また,電圧\(V\)の正負を反転させると,放出された熱電子は電極\( \ \mathrm {A} \ \)に戻ってしまうため,電流はほとんど流れなくなることから,電極\( \ \mathrm {A-B} \ \)間の電流電圧特性は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を示すことがわかる。電極の温度が十分低い場合には,熱電子放出電流は,電極温度の上昇に伴って指数関数的に増大するが,電圧\( \ V \ \)への依存性は小さい。一方,放出される電子の数が増加してくると,電極\( \ \mathrm {A} \ \)の周囲には,電子の電荷により熱電子放出を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)向きの電界が形成される。その結果,電流の大きさが電圧\( \ V \ \)に依存して変化するようになる。この現象は\( \ \fbox {  (5)  } \ \)と呼ばれ,熱電子放出電流を電圧で制御するための基本原理となっている。

〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 増幅特性   &(ロ)& 禁制帯幅   &(ハ)& 負 \\[ 5pt ] &(ニ)& 促進する   &(ホ)& 温度制限   &(ヘ)& ショットキー障壁 \\[ 5pt ] &(ト)& 正   &(チ)& 仕事関数   &(リ)& 負荷抵抗特性 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 整流特性   &(ル)& 妨げる   &(ヲ)& 空間電荷制限 \\[ 5pt ] &(ワ)& フェルミ準位    &(カ)& 電子散乱制限   &(ヨ)& 0
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電子計測は出題頻度もさほど高くなく,出題されても選択問題なので,過去問題をサラッと理解する程度で大丈夫です。平成29年度は問8に比較的易しめなオペアンプの問題が出題されていたので,本問を選択した受験生はかなり少ないと想定されます。

【用語の解説】

(イ)増幅特性
電子回路で入力に対して出力が何倍にも大きくなる特性を言います。
(ロ)禁制帯幅
一般的にはバンドギャップと呼ばれるもので,半導体等でエネルギーとして存在できない幅を言います。
(ヘ)ショットキー障壁
金属と半導体を接触させた際,電子がどちらか一方向に流れやすくなる。その際流れにくくなるエネルギー的障壁をショットキー障壁と言います。
(チ)仕事関数
真空中にある固体から電子を取り出すために必要なエネルギーを言います。
(リ)負荷抵抗特性
負荷的な特性(電流に比例する)を言っているのだと思います。
(ヌ)整流特性
ダイオードやサイリスタのように電流をプラスかマイナスか一方向にしか流さない特性を言います。
(ヲ)空間電荷制限
空間電荷が形成された際,その空間電荷が影響して電流が制限される現象を言います。
(ワ)フェルミ準位
電子が存在する確率が50%となるエネルギー準位を言います。
(カ)電子散乱制限
私が無知であるのか,よく知らない用語です。

【解答】

(1)解答:チ
金属を高温に熱すると,高いエネルギーが加えられるので,ある値を超えた時,電子が真空中に飛び出してきます。そのエネルギーの値を仕事関数と言います。

(2)解答:ハ
電圧が正だと電子は負に帯電しているので,また同じ極に戻りますが,電圧が負だと斥力が働き接地された電極へ向かいます。

(3)解答:ヌ
電圧が負だと流れ,電圧が正だと流れないという一方向にしか流れない特性なので整流特性となります。

(4)解答:ル
(5)解答:ヲ
電子の量が多い時,放出される電子により空間電荷が形成され,電極\( \ \mathrm {A} \ \)から出てきた電子を妨げるような働きをします。これを空間電荷制限と言います。



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