【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,変圧器の損失と効率に関する記述である。
電圧一定で出力を変化させても,出力一定で電圧を変化させても,変圧器の効率の最大は鉄損と銅損とが等しいときに生じる。ただし,変圧器の損失は鉄損と銅損だけとし,負荷の力率は一定とする。
a.出力 1 000 [W] で運転している単相変圧器において鉄損が 40.0 [W] ,銅損が 40.0 [W] 発生している場合,変圧器の効率は (ア) [%] である。
b.出力電圧一定で出力を 500 [W] に下げた場合の鉄損は 40.0 [W] ,銅損は (イ) [W] ,効率は (ウ) [%] となる。
c.出力電圧が 20 [%] 低下した状態で,出力 1 000 [W] の運転をしたとすると鉄損は 25.6 [W] ,銅損は (エ) [W] ,効率は (オ) [%] となる。ただし,鉄損は電圧の 2 乗に比例するものとする。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる最も近い数値の組合せを,次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)(1) 94 20.0 89 61.5 91 (2) 93 10.0 91 62.5 92 (3) 94 20.0 89 63.5 91 (4) 93 10.0 91 50.0 93 (5) 92 20.0 89 61.5 91
【ワンポイント解説】
変圧器の損失に関する問題です。
a.およびb.の内容は標準的かやや易しいレベルの内容ですが,c.の文章が加わることでぐんと難易度が上がっている問題です。
メカニズムを一度理解すれば忘れにくい内容なので,確実に理解するようにしましょう。
1.変圧器の等価回路(一次換算)と鉄損及び銅損
変圧器の一次側換算等価回路を図1に示します。ただし, ˙V1 は一次側端子電圧, ˙I1 は一次電流, ˙I2 は二次電流, ˙I0 は励磁電流, r1 は一次巻線抵抗, r2 は二次巻線抵抗, x1 は一次漏れリアクタンス, x2 は二次漏れリアクタンス, a は変圧比(巻数比)となります。
等価回路より,鉄損は電圧 ˙V1 の 2 乗に比例し,銅損は電流 ˙I2 の 2 乗に比例することがわかります。

2.変圧器の効率 η と最大効率 ηm
変圧器の損失は鉄損 pi と銅損 pc があり, pi は負荷によらず一定であり, pc は負荷(電流)の 2 乗に比例します。従って,定格出力 Pn で利用率 α の時の変圧器の効率 η は,
η=出力入力=出力出力+損失=αPnαPn+pi+α2pc
となります。
次に,最大効率 ηm を求めます。上式の分母分子を α で割ると
η=PnPn+piα+αpc
となり,効率が最大となるためには,上式の分母が最小となれば良いです。よって, A=Pn+piα+αpc と置くと,
dAdα=−piα2+pc
となります。よって dAdα=0 となるとき, pi=α2pc であり,鉄損と銅損が等しい時効率は最大となります。
※ 電験 3 種においては,鉄損と銅損が等しい時,効率が最大となることを覚えていれば問題ありません。
【関連する「電気の神髄」記事】
【解答】
解答:(2)
(ア)
ワンポイント解説「2.変圧器の効率 η と最大効率 ηm 」の通り,出力 Po=1 000 [W] ,鉄損 pi=40.0 [W] ,銅損 pc=40.0 [W] の時の効率 η は,
η=PoPo+pi+pc=10001000+40+40≒0.9259 → 93 [%]
と求められる。
(イ)
銅損は出力の 2 乗に比例に比例するので,出力 P′o=500 [W] の時の銅損 p′c [W] は,
p′c=(5001000)2×pc=14×40=10 [W]
と求められる。
(ウ)
(イ)より,出力 P′o=500 [W] の時の効率 η′ は,
η′=P′oP′o+pi+p′c=500500+40+10≒0.9091 → 91 [%]
と求められる。
(エ)
単相変圧器の出力 Po [W] は,電圧 V [V],電流 I [A],力率 cosθを用いて,
Po=VIcosθ
で与えられ,これより,
I=PoVcosθ
となる。出力及び力率一定で電圧が 20 [%] 低下したときの電流 I′ [A]は,
I′=Po0.8Vcosθ=I0.8=1.25I
となるので,このときの銅損 p′′c [W] は,
p′′c=(1.25II)2×pc=1.5625×40=62.5 [W]
と求められる。
(オ)
(エ)より,出力電圧が 20 [%] 低下した状態での効率 η′′ は,鉄損 p′′i=0.82×40=25.6 [W] が与えられているので,
η′′=PoPo+p′′i+p′′c=10001000+25.6+62.5≒0.9190 → 92 [%]
と求められる。