《機械》〈回転機〉[H23:問6]交流電気機器の損失に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,交流電気機器の損失に関する記述である。

a.磁束が作用して鉄心の電気抵抗に発生する\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)は,鉄心に電流が流れにくいように薄い鉄板を積層して低減する。

b.コイルの電気抵抗に電流が作用して発生する\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)は,コイルに電流が流れやすいように導体の断面積を大きくして低減する。

c.磁性材料を通る磁束が変動すると発生する\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \),及び変圧器には存在しない\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)は,機器に負荷をかけなくても存在するので無負荷損と称する。

d.最大磁束密度一定の条件で\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)は周波数に比例する。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 渦電流損    & 銅 損  & 鉄 損 & 機械損 & ヒステリシス損 \\
\hline
(2) & ヒステリシス損 & 渦電流損 & 鉄 損 & 機械損 & 励磁損     \\
\hline
(3) & 渦電流損    & 銅 損  & 機械損 & 鉄 損 & ヒステリシス損 \\
\hline
(4) & ヒステリシス損 & 渦電流損 & 機械損 & 鉄 損 & 励磁損     \\
\hline
(5) & 渦電流損    & 銅 損  & 機械損 & 鉄 損 & 励磁損     \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気機器の損失に関する問題です。
基本的に電験で扱うのは鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)と銅損ですが,他の損失も名称と概要ぐらいは理解しておくと良いかと思います。

1.電気機器の無負荷損
無負荷損は電気機器に負荷をかけなくても存在し,また負荷が変化しても損失が変化しない特徴があります。
主にヒステリシス損や渦電流損という鉄損ですが,電気機器が回転することによる摩擦損や風損といった機械損,界磁巻線に流れることにより発生する励磁損等もあります。

①ヒステリシス損
ヒステリシス損は図1に示すような交番磁界を加えることによって,鉄心材料に残留磁気が残ることに発生する損失で,材料によって特性が異なります。図1の曲線で囲まれた面積が交番磁界\( \ 1 \ \)サイクルあたりに生ずるヒステリシス損になるので,ヒステリシス損はヒステリシス曲線で囲まれた面積と交番磁界の周波数に比例することになります。

②渦電流損
図2に示すように交番磁界が磁性材料を通過した際に流れる渦電流による損失で,図2の厚さが小さくなれば2乗に比例して渦電流が発生しにくくなります。

2.電気機器の負荷損
変圧器の負荷電流によって生じる損失で,銅損と漂遊負荷損があります。

①銅損
一次巻線と二次巻線の抵抗分によって生じる抵抗損で負荷電流の大きさの\( \ 2 \ \)乗に比例します。巻線が銅で構成されているので銅損と呼ばれます。

②漂遊負荷損
コイルの漏れ磁束によって発生する損失です。通常は無視できない損失ですが,電験の場合は銅損よりはるかに小さいため無視する場合が多いです。

【解答】

解答:(1)
(ア)
磁束が作用して鉄心の電気抵抗に発生するのは渦電流損です。後半の「薄い鉄板を積層して」というところから正答を導き出せると良いかと思います。

(イ)
コイルの電気抵抗に電流が作用して発生するのは銅損です。コイルの抵抗は,長さに比例し断面積に反比例するので,断面積を大きくすれば低減することができます。

(ウ)
磁性材料を通る磁束が変動すると発生するのはヒステリシス損や渦電流損等の鉄損となります。

(エ)
回転体ではない変圧器には発生しないのは摩擦損や風損といった機械損となります。

(オ)
最大磁束密度一定の条件で周波数に比例するのはヒステリシス損です。渦電流損は周波数の\( \ 2 \ \)乗に比例するので,合わせて覚えておくと良いでしょう。