《理論》〈電磁気〉[R4下:問3]直線状導体の周りに生じる磁界の特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

無限に長い直線状導体に直流電流を流すと,導体の周りに磁界が生じる。この磁界中に小磁針を置くと,小磁針の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)は磁界の向きを指して静止する。そこで,小磁針を磁界の向きに沿って少しずつ動かしていくと,導体を中心とした\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)の線が得られる。この線に沿って磁界の向きに矢印をつけたものを\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)という。

また,磁界の強さを調べてみると,電流の大きさに比例し,導体からの\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)に反比例している。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  \mathrm {N} \ 極  &  放射状  &  電気力線  &  距離の \ 2 \ 乗  \\
\hline
(2) &  \mathrm {N} \ 極  &  同心円状  &  電気力線  &  距離の \ 2 \ 乗  \\
\hline
(3) &  \mathrm {S} \ 極  &  放射状  &  磁力線  &  距離  \\
\hline
(4) &  \mathrm {N} \ 極  &  同心円状  &  磁力線  &  距離  \\
\hline
(5) &  \mathrm {S} \ 極  &  同心円状  &  磁力線  &  距離の \ 2 \ 乗  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

直線状導体が作る磁界に関する問題です。
図が与えられていないので図1に示すような図を簡単に描くと良いかと思います。
電界→電気力線,磁界→磁力線と名称も特徴も似ていますが,電気と磁気の違いをしっかりと理解しておきましょう。

1.アンペールの周回積分の法則
図1のように無限長直線電流\( \ I \ \mathrm {[A]} \ \)が流れているとき,電線から距離\( \ r \ \mathrm {[m]} \ \)離れた位置での磁界の強さ\( \ H \ \mathrm {[A / m]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
H&=&\frac {I}{2\pi r} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

2.磁力線の特徴
磁力線は\( \ \mathrm {N} \ \)極から出て\( \ \mathrm {S} \ \)極に向かう仮想の線で,以下のような特徴があります。
①磁力線の本数は磁荷\( \ m \ \mathrm {[Wb]} \ \),透磁率\( \ \mu \ \mathrm {[H/m]} \ \)を用いると,\( \ \displaystyle \frac {m}{\mu } \ \)本である。
②磁力線は\( \ \mathrm {N} \ \)極から出て\( \ \mathrm {S} \ \)極に入る。
③磁力線同士は反発し合う。
④磁力線は枝分かれしたり,交差したりしない。
⑤磁力線の向きは磁界の向きと一致し,磁力線の密度は磁界の強さに比例する。

【解答】

解答:(4)
(ア)
小磁針の\( \ \mathrm {N} \ \)極が\( \ \mathrm {S} \ \)極と引き合うので,図3に示すように任意の位置において磁界の向き(磁力線の向き)と\( \ \mathrm {N} \ \)極の向きは等しくなります。

(イ)
ワンポイント解説「1.アンペールの周回積分の法則」の通り,磁界の向きは円方向の向きとなるので,小磁針を磁界の向きに沿って少しずつ動かしていくと,導体を中心とした同心円状の線が描けます。

(ウ)
ワンポイント解説「2.磁力線の特徴」の通り,磁界の向きに矢印をつけたものを磁力線といいます。

(エ)
ワンポイント解説「1.アンペールの周回積分の法則」の通り,磁界の強さ\( \ H \ \mathrm {[A / m]} \ \)は,電流の大きさ\( \ I \ \mathrm {[A]} \ \),導体からの距離\( \ r \ \mathrm {[m]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
H&=&\frac {I}{2\pi r} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められ,電流の大きさ\( \ I \ \mathrm {[A]} \ \)に比例し,導体からの距離\( \ r \ \mathrm {[m]} \ \)に反比例します。