《理論》〈電気回路〉[R4下:問8]交流における波形率,波高率に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,交流における波形率,波高率に関する記述である。
波形率とは,実効値の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)に対する比\( \ \displaystyle ( 波形率=\frac {実効値}{ \ \fbox {  (ア)  } \ }) \ \)をいう。波形率の値は波形によって異なり,正弦波と比較して,三角波のようにとがっていれば,波形率の値は\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)なり,方形波のように平らであれば,波形率の値は\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)なる。

波高率とは,\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)の実効値に対する比\( \ \displaystyle ( 波高率=\frac { \ \fbox {  (エ)  } \ }{実効値}) \ \)をいう。波高率の値は波形によって異なり,正弦波と比較して,三角波のようにとがっていれば,波高率の値は\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)なり,方形波のように平らであれば,波高率の値は\( \ \fbox {  (カ)  } \ \)なる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(カ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) & (カ) \\
\hline
(1) &  平均値  &  大きく  &  小さく  &  最大値  &  大きく  &  小さく  \\
\hline
(2) &  最大値  &  大きく  &  小さく  &  平均値  &  大きく  &  小さく  \\
\hline
(3) &  平均値  &  小さく  &  大きく  &  最大値  &  小さく  &  大きく  \\
\hline
(4) &  最大値  &  小さく  &  大きく  &  平均値  &  小さく  &  大きく  \\
\hline
(5) &  最大値  &  大きく  &  大きく  &  平均値  &  小さく  &  小さく  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

交流の波形率と波高率に関する問題です。
平均値,実効値そして波形率と波高率の定義を理解していないと解けない問題です。
正確な演算は積分計算を伴うので\( \ 2 \ \)種以上の内容となりますが,本問で出題されているような概要は押さえておくようにして下さい。

1.平均値と実効値の定義
\( \ f( \theta ) \ \)を周期\( \ T \ \)の周期関数であるとしたとき,平均値と実効値は以下の通りとなります。
①平均値\( \ F_{\mathrm {av}} \ \)
定義式は,
\[
\begin{eqnarray}
F_{\mathrm {av}}&=&\frac {1}{T}\int _{0}^{T}f( \theta ) \mathrm {d}\theta \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であり,これを正弦波\( \ v\left( t \right) =V_{\mathrm {m}}\sin \omega t \ \)に適用すると,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {av}} &=&\frac {1}{\pi }\int _{0}^{\pi }V_{\mathrm {m}}\sin \omega t \mathrm {d}\omega t \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{\pi }\left[ -\cos \omega t \right] _{0}^{\pi } \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{\pi }\left[ 1+1 \right] \\[ 5pt ] &=&\frac {2}{\pi }V_{\mathrm {m}}
\end{eqnarray}
\] となります。

②実効値\( \ F \ \) 
定義式は,
\[
\begin{eqnarray}
F&=&\sqrt {\frac {1}{T} \int _{0}^{T} f( \theta ) ^{2} \mathrm {d}\theta } \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であり,これを正弦波\( \ v\left( t \right) =V_{\mathrm {m}}\sin \omega t \ \)に適用すると,
\[
\begin{eqnarray}
V &=&\sqrt {\frac {1}{\pi }\int _{0}^{\pi }{V_{\mathrm {m}}}^{2}\sin ^{2}\omega t \mathrm {d}\omega t} \\[ 5pt ] &=&V_{\mathrm {m}}\sqrt {\frac {1}{\pi }\int _{0}^{\pi }\frac {1-\cos 2\omega t}{2} \mathrm {d}\omega t} \\[ 5pt ] &=&V_{\mathrm {m}}\sqrt {\frac {1}{\pi }\left[ \frac {1}{2}\omega t -\frac {1}{4}\sin 2\omega t \right] _{0}^{\pi } } \\[ 5pt ] &=&V_{\mathrm {m}}\sqrt {\frac {1}{\pi }\left[ \frac {1}{2}\pi -0 -0 +0 \right] _{0}^{\pi } } \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}
\end{eqnarray}
\] となります。

2.波形率と波高率
交流における波形率と波高率は以下の通り定義されます。

①波形率
定義式は,
\[
\begin{eqnarray}
波形率&=&\frac {実効値}{平均値} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であり,正弦波\( \ v\left( t \right) =V_{\mathrm {m}}\sin \omega t \ \)においては,
\[
\begin{eqnarray}
波形率&=&\frac {\displaystyle \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}}{\displaystyle \frac {2}{\pi }V_{\mathrm {m}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\pi }{2\sqrt {2}} \\[ 5pt ] &≒&1.11 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

②波高率
定義式は,
\[
\begin{eqnarray}
波高率&=&\frac {最大値}{実効値} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であり,正弦波\( \ v\left( t \right) =V_{\mathrm {m}}\sin \omega t \ \)においては,
\[
\begin{eqnarray}
波高率&=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{\displaystyle \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

【関連する「電気の神髄」記事】

  さまざまな交流波形の平均値・実効値まとめ

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「2.波形率と波高率」の通り,波形率は\( \ \displaystyle 波形率=\frac {実効値}{平均値} \ \)で定義されます。

(イ)
三角波の平均値は最大値の\( \ \displaystyle \frac {1}{2} \ \)倍,実効値は最大値の\( \ \displaystyle \frac {1}{\sqrt {3}} \ \)倍なので,波形率は,
\[
\begin{eqnarray}
波形率&=&\frac {\displaystyle \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {3}}}{\displaystyle \frac {V_{\mathrm {m}}}{2}} \\[ 5pt ] &=&\frac {2}{\sqrt {3}} \\[ 5pt ] &≒&1.15 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,正弦波より大きくなります。

※三角波の実効値は積分を使わない場合覚えるしかありません。本問は方形波で考えて正答を導き出せば良いかと思います。

(ウ)
方形波の平均値及び実効値は最大値と等しいので,波形率は,
\[
\begin{eqnarray}
波形率&=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{V_{\mathrm {m}}} \\[ 5pt ] &=&1 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,正弦波より小さくなります。

(エ)
ワンポイント解説「2.波形率と波高率」の通り,波高率は\( \ \displaystyle 波高率=\frac {最大値}{実効値} \ \)で定義されます。

(オ)
三角波の実効値は最大値の\( \ \displaystyle \frac {1}{\sqrt {3}} \ \)倍なので,波高率は,
\[
\begin{eqnarray}
波形率&=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{\displaystyle \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {3}}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {3} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,正弦波より大きくなります。

(カ)
方形波の実効値は最大値と等しいので,波高率は,
\[
\begin{eqnarray}
波高率&=&\frac {V_{\mathrm {m}}}{V_{\mathrm {m}}} \\[ 5pt ] &=&1 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,正弦波より小さくなります。