《電力》〈配電〉[R06上:問7]配電線路の電圧維持対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

配電線路の電圧維持に有効な対策として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 負荷時タップ切換変圧器や負荷時電圧調整器で変電所の送り出し電圧を調整する。

(2) 力率改善用コンデンサを設置する。

(3) 太い配電線に張り替える。

(4) 配電線のこう長を延長する。

(5) 柱上変圧器を負荷の中心に設置する。

【ワンポイント解説】

配電線路の電圧調整に関する問題です。
分散型電源が各所で設置されている影響かわかりませんが,令和5年下期問7令和4年下期問12と近年は電圧調整に関する類題が多く出題されています。
今後も同じように出題される可能性がありますので,内容をよく理解しておきましょう。

1.配電線路における電圧調整
①負荷時タップ切換変圧器(\( \ \mathrm {LRT} \ \))
 配電用変電所で行う調整で,変圧器のタップを切り換えることで,変圧比を調整し電圧を調整します。

②負荷時電圧調整器(\( \ \mathrm {LRA} \ \))
 配電用変電所に設置する電圧調整器で,母線電圧を調整します。

③柱上変圧器のタップ調整
 高圧線の変電所からの距離に応じて柱上変圧器のタップを調整し,低圧線の電圧を適正範囲内に調整します。

④自動電圧調整器(\( \ \mathrm {SVR} \ \))
 高圧配電線の途中に設置し,タップ切換器,変圧器,制御機構等で構成され,電圧を自動で調整します。

⑤昇圧器
 配電線のこう長が長くなり負荷の端子電圧が低くなる場合に設置します。

⑥電力用コンデンサ
 配電線路上に電力用コンデンサを設置し,開閉することで力率の改善を行い電圧を調整します。

【解答】

解答:(4)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.配電線路における電圧調整」の通り,負荷時タップ切換変圧器や負荷時電圧調整器は電圧調整に有効な対策です。

(2):正しい
ワンポイント解説「1.配電線路における電圧調整」の通り,力率改善用コンデンサの設置は電圧調整に有効な対策です。

(3):正しい
太い配電線にすることで,線路の抵抗やリアクタンスが減少し,配電線での電圧降下を小さくすることができるため,電圧維持に有効な対策となります。

(4):誤り
配電線のこう長を延長することは,末端までの抵抗やリアクタンスが増加することになるので,配電線の電圧降下を大きくすることになります

(5):正しい
柱上変圧器を負荷の中心に設置することは,末端負荷までの電圧降下を均等にすることができるため,電圧維持に有効な対策となります。