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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
定格出力\( \ 7 \ 500 \ \mathrm {kV\cdot A} \ \),定格電圧(線間電圧)\( \ 3 \ 300 \ \mathrm {V} \ \)の星形結線三相同期発電機がある。また,定格電流に等しい持続短絡電流を流すのに必要な界磁電流は\( \ 200 \ \mathrm {A} \ \),無負荷で定格電圧を発生するのに必要な界磁電流は\( \ 240 \ \mathrm {A} \ \)であった。発電機の出力端で三相短絡事故が発生したときに発電機の巻線に流れる持続短絡電流の実効値\( \ \mathrm {[A]} \ \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \( \ 1 \ 100 \ \) (2) \( \ 1 \ 600 \ \) (3) \( \ 1 \ 900 \ \) (4) \( \ 2 \ 700 \ \) (5) \( \ 3 \ 400 \ \)
【ワンポイント解説】
同期発電機の三相短絡電流の導出に関する問題です。
問題を見て特性曲線を描けることと,問題文の内容を特性曲線上に落とし込めるかどうかが問われている問題です。
無負荷飽和曲線や三相短絡曲線は同期機でも頻出の内容となりますので,必ず描けるようにしておきましょう。
1.同期発電機の無負荷飽和曲線と三相短絡曲線
同期発電機は図1のような無負荷飽和曲線と三相短絡曲線の特性があります。
無負荷飽和曲線は定格速度で無負荷で運転したときの界磁電流と端子電圧の関係,三相短絡曲線は電機子巻線の三相の出力端子を短絡し定格速度で運転したときの界磁電流と三相短絡電流の関係,を表したものです。
図中の\( \ V_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V]} \ \)は定格電圧,\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)は定格電流,三相短絡曲線は曲線ですが,ほぼ比例の直線と近似できます。
この時,\( \ I_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[A]} \ \)は定格電圧時の三相短絡電流であり,短絡比\( \ K \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
K &=& \frac {I_{\mathrm {s}}}{I_{\mathrm {n}}}=\frac {I_{\mathrm {f1}}}{I_{\mathrm {f2}}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。

【解答】
解答:(2)
題意に沿って,同期発電機の特性曲線を描くと図2のようになる。
定格出力\( \ P_{\mathrm {n}}=7 \ 500 \ \mathrm {[kV\cdot A]} \ \),定格電圧(線間電圧)\( \ V_{\mathrm {n}}=3 \ 300 \ \mathrm {[V]} \ \)より,定格電流\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {n}} &=& \frac {P_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}V_{\mathrm {n}}} \\[ 5pt ]
&=& \frac {7 \ 500\times 10^{3}}{\sqrt {3}\times 3 \ 300} \\[ 5pt ]
&≒& 1 \ 312 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であるので,三相短絡曲線の関係から,三相短絡事故が発生したときに発電機の巻線に流れる持続短絡電流の実効値\( \ I_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {s}} &=& \frac {I_{\mathrm {f1}}}{I_{\mathrm {f2}}}I_{\mathrm {n}} \\[ 5pt ]
&=& \frac {240}{200}\times 1 \ 312 \\[ 5pt ]
&≒& 1 \ 574 → 1 \ 600 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
