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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
三相電源に接続する変圧器に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 変圧器鉄心の磁気飽和現象やヒステリシス現象は,正弦波の電圧,又は正弦波の磁束による励磁電流高調波の発生要因となる。変圧器のΔ結線は,励磁電流の第 3 次高調波を,巻線内を循環電流として流す働きを担っている。
(2) Δ結線がないY−Y結線の変圧器は,第3次高調波の流れる回路がないため,相電圧波形がひずみ,これが原因となって,近くの通信線に雑音などの障害を与える。
(3) Δ−Y結線又はY−Δ結線は,一次電圧と二次電圧との間に角変位又は位相変位と呼ばれる位相差45°がある。
(4) 三相の磁束が重畳して通る部分の鉄心を省略し,鉄心材料を少なく済ませている三相内鉄形変圧器は,単相変圧器 3 台に比べて据付け面積の縮小と軽量化が可能である。
(5) スコット結線変圧器は,三相3線式の電源を直交する二つの単相(二相)に変換し,大容量の単相負荷に電力を供給する場合に用いる。三相のうち一相からの単相負荷電力供給は,三相電源に不平衡を生じるが,三相を二相に相数変換して二相側の負荷を平衡させると,三相側の不平衡を緩和できる。
【ワンポイント解説】
選択肢の文章はかなり難しい内容も含まれていますが,誤りが見つけやすいのでやや易しいとしています。幅広い分野の重要な内容が集約されていますので,本問の内容を理解しておきましょう。
1.変圧器の結線方式
①Y−Y結線
・Δ結線がないので,第 3 次高調波の流れる回路がないため,相電圧波形がひずみを持ってしまいます。
・上記理由で使用されず,通常三次巻線にΔ結線を加えたY−Y−Δ結線として使用します。
②Y−Y−Δ結線
・Y−Y結線の欠点を補うため,三次巻線にΔ結線を加えた結線方式で,第3次高調波を還流させることができます。
・一次と二次の電圧に位相差がなく,取扱いが容易となります。
・一次,二次とも中性点を接地することができます。
③Y−Δ結線
・Δ結線で,第 3 次高調波を還流させることができます。
・中性点を接地する時は,Y結線側を使用します。
・一次電圧と二次電圧に30°の位相差が生じます。
④Δ−Δ結線
・Δ結線で,第 3 次高調波を還流させることができます。
・一次,二次の電圧に位相差がありません。
・中性点がないので,中性点接地を行う場合は,接地変圧器が必要となります。
2.スコット結線変圧器
スコット巻線変圧器は図1のように2つの単相変圧器を使用し,片方の変圧器の中点と,もう一つの変圧器の1端子を結んで,線路の三相電圧を図1のようにつなぎ合わせたものです。
これにより,図2のような位相差が90°の電圧が得られます。U相の電圧の接続箇所を調整し,巻線比を√32:1とすることで,二次側電圧のEaとEbを等しくすることができます。

【解答】
解答:(3)
(1):正しい
問題文の通り,高調波は鉄心の磁気飽和現象やヒステリシス現象により発生しますが,Δ結線により第3調波を循環電流として流すことができます。
(2):正しい
ワンポイント解説「1.変圧器の結線方式」の通り,Y−Y結線は第3調波が流れる回路がないので,相電圧波形がひずみ,これが原因となって,近くの通信線に雑音などの障害を与えます。
(3):誤り
ワンポイント解説「1.変圧器の結線方式」の通り,一次側と二次側の角変位は30°となります。
(4):正しい
内鉄形と外鉄形は下図のように鉄心と巻線の関係が鉄心が内側にあるのが内鉄形,外側にあるのが外鉄形となります。
出典:株式会社 日立産機システム HP
https://hitachi-ies.force.com/web/s/article/trans5222
(5):正しい
ワンポイント解説「2.スコット結線変圧器」の通り,スコット結線変圧器は,二次側に直交する電圧を取り出すことができる変圧器です。また,三相電源に不平衡を生じますが,二相側の負荷を平衡させれば,不平衡を緩和することができます。