Contents
【問題】
【難易度】★★★★★(難しい)
変圧器の試験方法の一つに温度上昇試験がある。小形変圧器の場合には実負荷法を用いるが,電力用等の大形変圧器では返還負荷法を用いる。返還負荷法では,外部電源から鉄損と銅損に相当する電力のみを供給すればよいので試験電源が比較的小規模なものですむ。単相変圧器におけるこの試験の結線方法および図中に示す鉄損,銅損の供給方法として,次の(1)~(5)のうちから正しいものを一つ選べ。ただし,\( \ \mathrm {T}_{1} \ \),\( \ \mathrm {T}_{2} \ \)は試験対象となる同じ仕様の変圧器,\( \ \mathrm {T}_{3} \ \)は補助変圧器である。
【ワンポイント解説】
専門的な分野であり,電験としてはあまり出題されにくい問題と言え,知識としても不要であると思います。この年の問題は比較的易しい問題が多いのでバランスを取ったような形の問題です。
1.変圧器の温度上昇試験
変圧器の温度上昇試験は変圧器の油や巻線等の温度を測定するもので,実負荷法,返還負荷法,等価負荷法があります。
①実負荷法
定格負荷状態において温度上昇試験を行う試験方法です。実際に変圧器に負荷をかけて試験を行う方法なので,大容量の変圧器に適用するのは現実的ではなく,小容量の変圧器のみに適用されます。
②返還負荷法
無負荷損と負荷損それぞれの電源容量を別々に供給し測定する方法で、試験の電源容量が少ないので,電力用等の大容量の変圧器でも用いられる方法です。ただし,同一定格の変圧器を\( \ 2 \ \)台以上必要とし,測定結果から温度補正をする必要があります。したがって,現地試験として行われることはありません。
③等価負荷法
片方の巻線を短絡して定格周波数の電源によって他方の巻線に電流を流し,無負荷損と負荷損の和に等しい損失を流した時の温度上昇を測定する方法です。全損失を負荷損として供給する方法であるため,それぞれの値を把握している必要があります。また,温度補正等の計算を行う必要があります。
【解答】
解答:(2)
返還負荷法は\( \ 2 \ \)台の同一仕様の変圧器,及び補助変圧器を使用します。
左側(一次側)は変圧器を並列に接続して,定格電圧を供給して無負荷損を供給し、右側(二次側)は直列に接続して,定格電流を供給して負荷損を供給します。
したがって,接続方法として正しいのは(2)となります。