《理論》〈電気及び電子計測〉[H28:問4] 電界内の電子の動きに関する計算問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,電界内の電子の動きに関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお,電子の質量を\(m_{\mathrm {0}}\),電荷量を\(-e\)とする。ただし,電子の速度は電子の質量\(m_{\mathrm {0}}\)が変化しない範囲とする。

図のように,真空中に置かれた,上側に\(\displaystyle +\frac {V}{2}\),下側に\(\displaystyle -\frac {V}{2}\)の電圧を印加した平行二枚板電極がある。その間隔は\(D\)である。この平行二枚板電極間の中央に,横方向から\(x\)方向の速度\(v_{\mathrm {x}}\)のみの速度をもつ電子を入射したところ,図のように平行二枚板電極間を通過した。平行二枚板電極間の電界は端部においても一様とすると,平行二枚板電極間を通過する\(t_{\mathrm {1}}\)の間だけ,一定電界により上側( \(y\)方向 ) への力\(\fbox {  (1)  }\)を受ける。このときの電子の加速度は\(\displaystyle \frac {d^{2}y}{dt^{2}}=\fbox {  (2)  }\)で表せる微分方程式が得られる。平衡二枚電極間を通り過ぎた直後の\(y\)方向の変位を\(\Delta d\),\(y\)方向の速度を\(v_{\mathrm {y}}\)とすると,\(y\)方向の初期速度が零であることに注意して,時間\(t_{\mathrm {1}}\)と変位\(\Delta d\)の間には\(\Delta d=\fbox {  (3)  }\)の関係があり,同様に\(v_{\mathrm {y}}\)を\(t_{\mathrm {1}}\)を用いて表してから\(\Delta d\)の式を用いて\(t_{\mathrm {1}}\)を消去すると,\(v_{\mathrm {y}}=\fbox {  (4)  }\)が得られる。
このあと,電子は等速度で運動し続けるので,平行二枚板電極間から\(x\)方向に\(L\)だけ離れた位置の\(yz\)平面にスクリーンを置くと,平行二枚板電極間を通り過ぎた後からスクリーンにたどり着くまでの\(y\)方向への変位は\(\fbox {  (5)  }\)である。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \sqrt {\frac {2eV}{m_{\mathrm {0}}}}   &(ロ)& \frac {eVt_{\mathrm {1}}^{2}}{2m_{\mathrm {0}}D}     &(ハ)& \frac {eVt_{\mathrm {1}}^{2}}{m_{\mathrm {0}}D}  \\[ 5pt ] &(ニ)& \frac {v_{\mathrm {x}}}{v_{\mathrm {y}}}L   &(ホ)& \frac {eVD}{m_{\mathrm {0}}}    &(ヘ)& eVD \\[ 5pt ] &(ト)& \sqrt {\frac {2eV\Delta d}{m_{\mathrm {0}}D}}   &(チ)& \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}}   &(リ)& \frac {v_{\mathrm {y}}}{v_{\mathrm {x}}}L \\[ 5pt ] &(ヌ)& eV   &(ル)& \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}D}   &(ヲ)& \sqrt {\frac {2eV}{m_{\mathrm {0}}}}\frac {L}{v_{\mathrm {x}}} \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {eVt_{\mathrm {1}}}{m_{\mathrm {0}}D}   &(カ)& \sqrt {\frac {eV\Delta d}{m_{\mathrm {0}}D}}   &(ヨ)& \frac {eV}{D}
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

目新しい公式等もなく非常にオーソドックスな問題と言えます。電験一種としては,非常に易しい問題と言えるでしょう。

【解答】

(1)解答:ヨ
図平行二枚板電極間の電界\(E\)は,
\[
\begin{eqnarray}
E &=& \frac {\frac {V}{2}-\left( -\frac {V}{2}\right) }{D} \\[ 5pt ] &=& \frac {V}{D}
\end{eqnarray}
\] であるから,電子が受ける力\(F\)は,
\[
\begin{eqnarray}
F &=& eE \\[ 5pt ] &=& \frac {eV}{D}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(2)解答:ル
電子の運動方程式は,
\[
F = m_{\mathrm {0}}\frac {d^{2}y}{dt^{2}}
\] で表せるので\(\displaystyle F=\frac {eV}{D}\)を代入して整理すると,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {eV}{D} &=& m_{\mathrm {0}}\frac {d^{2}y}{dt^{2}} \\[ 5pt ] \frac {d^{2}y}{dt^{2}} &=& \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}D}
\end{eqnarray}
\] となる。

(3)解答:ロ
平行二枚板電極に入った時の\(y\)方向の初速度が零であるから,
\[
\begin{eqnarray}
\Delta d &=& \frac {1}{2}\frac {d^{2}y}{dt^{2}}t_{1}^{2} \\[ 5pt ] &=& \frac {1}{2} \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}D}t_{1}^{2} \\[ 5pt ] &=& \frac {eVt_{1}^{2}}{2m_{\mathrm {0}}D}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(4)解答:ト
\(v_{\mathrm {y}}\)を\(t_{\mathrm {1}}\)を用いて表すと,
\[
\begin{eqnarray}
v_{\mathrm {y}} &=& \frac {d^{2}y}{dt^{2}} t_{1} \\[ 5pt ] &=& \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}D}t_{1} \\[ 5pt ] &=& \frac {eVt_{1}}{m_{\mathrm {0}}D}     ・・・・・・・・・・①
\end{eqnarray}
\] である。一方(3)の解答式を\(t_{1}\)について整理すると,
\[
\begin{eqnarray}
\Delta d &=& \frac {eVt_{1}^{2}}{2m_{\mathrm {0}}D} \\[ 5pt ] t_{1}^{2} &=& \frac {2m_{\mathrm {0}}D\Delta d}{eV} \\[ 5pt ] t_{1}&=&\sqrt {\frac {2m_{\mathrm {0}}D\Delta d}{eV}}  ・・・・・・・・・・②
\end{eqnarray}
\] となるから,②を①に代入すると,
\[
\begin{eqnarray}
v_{\mathrm {y}} &=& \frac {eVt_{1}}{m_{\mathrm {0}}D} \\[ 5pt ] &=& \frac {eV}{m_{\mathrm {0}}D}\sqrt {\frac {2m_{\mathrm {0}}D\Delta d}{eV}} \\[ 5pt ] &=& \sqrt {\frac {2eV\Delta d}{m_{\mathrm {0}}D}}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(5)解答:リ
平行二枚板電極を通りすぎた後,\(x\)方向には速度\(v_{\mathrm {x}}\),\(y\)方向には\(v_{\mathrm {y}}\)で等速運動を続けることになる。平行二枚板電極を通りすぎてから,スクリーンに到達する時間\(t_{2}\)は,
\[
t_{2}=\frac {L}{v_{\mathrm {x}}}
\] であるから,\(y\)方向への変位\(\Delta y\)は,
\[
\begin{eqnarray}
\Delta y &=& v_{\mathrm {y}}t_{2} \\[ 5pt ] &=& v_{\mathrm {y}}\frac {L}{v_{\mathrm {x}}} \\[ 5pt ] &=& \frac {v_{\mathrm {y}}}{v_{\mathrm {x}}}L
\end{eqnarray}
\] と求められる。



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