《機械》〈メカトロニクス〉[R04:問7]産業用自動機の制御機器に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,産業用自動機の制御機器に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

予め定められた順序又は手続きに従って,制御の各段階を逐次進めていく制御方式を\( \ \fbox {  (1)  } \ \)制御と言い,各種産業の自動機で用いられている。

旧来は,状態記憶を利用した順序回路である\( \ \fbox {  (2)  } \ \)などで制御を実現していたが,現在では,専用の工業用制御機器である\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を用いるのが主流である。この機器はプログラムにより動作するため,複雑な論理を実現出来ることや配線の変更なしに機能変更ができる利点を持つ。

\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の入力側には操作ボタンや各種センサなどが接続され,出力側には表示灯や各種アクチュエータなどが接続される。この機器は,一般的なパーソナルコンピュータよりも信頼性に優れることより,産業現場の過酷な環境においても活用されている。

プログラムは,旧来のリレー回路をはしご状に接続する表現とした\( \ \fbox {  (4)  } \ \)の図式により記述されることもあるが,現在では,広範な用途に対応できるよう,各種プログラム記述方法が準備されている。

産業用自動機の中核として用いられる\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が故障した場合でも,安全な状態に移行するよう\( \ \fbox {  (5)  } \ \)に配慮した装置設計が求められている。

〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& セキュリティホール       &(ロ)& フェールセーフ       &(ハ)& フィードバック \\[ 5pt ] &(ニ)& 自己保持回路     &(ホ)& 適応     &(ヘ)& 分周回路 \\[ 5pt ] &(ト)& シーケンス       &(チ)& 発振回路     &(リ)& ブロックダイアグラム \\[ 5pt ] &(ヌ)& ラダー図     &(ル)& 状態遷移図     &(ヲ)& データバックアップ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \[
\begin{eqnarray}
&(ワ)& ヌーメリカルコントローラ \\[ 5pt ] &(カ)& プログラマブルロジックコントローラ \\[ 5pt ] &(ヨ)& オートマチックステップコントローラ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

産業用自動機の制御機器に関する問題です。
\( \ \mathrm {PLC} \ \)の中身を問われると正答率が下がると思いますが,本問は中身ではなく自動制御の概要を問う問題でしたので,比較的正答率は高かったと予想されます。
選択肢が絞りやすく類推しやすいので,自動制御を理解されている方ならば選択すると高得点が狙える問題かもしれません。

1.自動制御の分類
①フィードバック制御
 制御量と目標値を比較して,それらを一致させるように操作量を決定する制御です。
 例えば汽力発電所の蒸気温度制御や蒸気圧力制御,給水の流量制御等があります。

②フィードフォワード制御
 目標値,外乱等の情報から,操作量を決定する制御です。
 フィードバック制御では外乱が発生してから対応するため,制御動作が遅くなりやすい性質がありますが,フィードフォワード制御により外乱が発生する前に予測し操作量を決定することが可能となります。

③シーケンス制御
 あらかじめ定められた論理回路の順序に従い,各段階を逐次進めていく制御で,以下の二つの種類があります。
 a.リレーシーケンス
  接点を有する電磁継電器を用いたシーケンスで有接点シーケンスともいいます。
 b.ロジックシーケンス
  半導体論理素子をスイッチとして利用したシーケンスで無接点シーケンスともいいます。

2.プログラマブルロジックコントローラ(\( \ \mathrm {PLC} \ \))
その名の通り,プログラミングによりロジックシーケンスを行うコントローラです。
その仕組みはパソコンととても似ており,制御部・演算部,メモリ等で構成されています。
従来のコンピュータよりも過酷な環境下での使用も想定されているので,産業現場でも活用されています。

【解答】

(1)解答:ト
題意より解答候補は,(ハ)フィードバック,(ト)シーケンス,等になると思います。
ワンポイント解説「1.自動制御の分類」の通り,予め定められた順序又は手続きに従って,制御の各段階を逐次進めていく制御方式をシーケンス制御といいます。

(2)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)自己保持回路,(ヘ)分周回路,(チ)発振回路,等になると思います。
電磁コイルの接点信号が入ったら,その接点信号を維持するように電気を流し続ける回路を自己保持回路といいます。

(3)解答:カ
題意より解答候補は,(ワ)ヌーメリカルコントローラ,(カ)プログラマブルロジックコントローラ,(ヨ)オートマチックステップコントローラ,になると思います。
ワンポイント解説「2.プログラマブルロジックコントローラ(\( \ \mathrm {PLC} \ \))」の通り,入力側には操作ボタンや各種センサなどが接続され,出力側には表示灯や各種アクチュエータなどが接続されるパーソナルコンピュータのような機器をプログラマブルロジックコントローラといいます。

(4)解答:ヌ
題意より解答候補は,(リ)ブロックダイアグラム,(ヌ)ラダー図,(ル)状態遷移図,になると思います。
旧来のリレー回路をはしご状に接続する表現とするものをラダー図といいます。はしごを英語でラダーと呼ぶため,その名がつけられています。

(5)解答:ロ
題意より解答候補は,(イ)セキュリティホール,(ロ)フェールセーフ,(ヲ)データバックアップ,等になると思います。
プログラマブルロジックコントローラが故障した時に機器が安全な状態に移行するようにした設計方法をフェールセーフと言います。



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