《電力》〈変電〉[H23:問10]発変電所で使用される避雷器の特性や特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,発変電所用避雷器に関する記述である。

避雷器はその特性要素の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)特性により,過電圧サージに伴う電流のみを大地に放電させ,サージ電流に続いて交流電流が大地に放電するのを阻止する作用を備えている。このため,避雷器は電力系統を地絡状態に陥れることなく過電圧の波高値をある抑制された電圧値に低減することができる。

この抑制された電圧を避雷器の\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)という。一般に発変電所用避雷器で処理の対象となる過電圧サージは,雷過電圧と\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)である。避雷器で保護される機器の絶縁は,当該避雷器の\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)に耐えればよいこととなり,機器の絶縁強度設計のほか発変電所構内の\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)などをも経済的,合理的に決定することができる。このような考え方を\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)という。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 非直線抵抗 & 制限電圧 & 開閉過電圧    & 機器配置 & 絶縁協調 \\
\hline
(2) & 非直線抵抗 & 回復電圧 & 短時間交流過電圧 & 機器寿命 & 保護協調 \\
\hline
(3) & 大容量抵抗 & 制限電圧 & 開閉過電圧    & 機器配置 & 保護協調 \\
\hline
(4) & 大容量抵抗 & 再起電圧 & 短時間交流過電圧 & 機器寿命 & 絶縁協調 \\
\hline
(5) & 無誘導抵抗 & 制限電圧 & 開閉過電圧    & 機器配置 & 絶縁協調 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

発変電所で使用される避雷器に関する問題です。
避雷器は非常によく出題される内容であり,いずれの空欄も重要な用語ばかりなので,本問の空欄は選択肢がなくても解けるぐらいになると良いかと思います。

1.避雷器の電圧―電流特性
避雷器に扱われる炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子と酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の電圧―電流特性を図1に示します。
図1のように酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))は一般的な抵抗と異なり電圧と電流が比例せず,非線形抵抗特性と呼ばれます。
炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子単体では通常運転時でも電流が流れてしまう反面,酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の場合通常電圧時では電流が流れないため,近年では酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子が多く採用されています。

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.避雷器の電圧―電流特性」の通り,避雷器の特性要素は非直線抵抗(非線形抵抗)特性と呼ばれます。

(イ)
ワンポイント解説「1.避雷器の電圧―電流特性」図1の通り,避雷器により抑制される電圧を制限電圧と言います。

(ウ)
一般に発変電所用避雷器で処理の対象となるのは,雷により発生する雷過電圧と遮断器や断路器の開閉により発生する開閉過電圧となります。

(エ)
避雷器により制限電圧以上に電圧が上がらないので,機器の絶縁強度設計は制限電圧を基準にすればよく,保護する機器の機器配置を避雷器のできるだけ近くすれば経済的かつ合理的に設計できます。

(オ)
本問のような絶縁設計の考え方を絶縁協調と言います。保護協調は保護リレーに関する内容となります。