《電力》〈電気材料〉[H23:問14]一般的な電気絶縁材料の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

電気絶縁材料に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直射日光により,絶縁物の劣化が生じる場合がある。

(2) 多くの絶縁材料は温度が高いほど,絶縁強度の低下や誘電損の増加が生じる。

(3) 絶縁材料中の水分が少ないほど,絶縁強度は低くなる傾向がある。

(4) 電界や熱が長時間加わることで,絶縁強度は低下する傾向がある。

(5) 部分放電は,絶縁物劣化の一要因である。

【ワンポイント解説】

電気絶縁材料に関する問題で,電気材料は毎年問14で出題されます。
絶縁材料は固体絶縁材料では送電線で使用するがいしや\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルで使用する架橋ポリエチレン,油入変圧器で使用する絶縁紙等があり,液体絶縁材料では\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルや変圧器で使用する鉱物油や合成油等があり,気体絶縁材料では遮断器や開閉器等で使用する\( \ \mathrm {SF}_{6} \ \)ガスや圧縮空気等があります。
問題を解きながら,少しずつ覚えていけば良いかと思います。

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
直射日光特に紫外線により,絶縁劣化する物質は多数あります。
代表的な例としては\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルに使用される架橋ポリエチレンやがいしで使用されるポリマー等があります。

(2)正しい
多くの絶縁材料において,温度が高いほど,絶縁強度の低下や誘電損の増加を生じます。
絶縁材料毎に使用可能な許容温度があり,\( \ \mathrm {JIS} \ \)においては耐熱クラスという形で区分されています。

(3)誤り
多くの絶縁材料においては水分は大敵で,水分が多いほど絶縁強度は低くなる傾向があります。
特に\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルで発生する水トリー劣化は水分や異物混入によりその部分から絶縁破壊し,トリー状(樹枝状)に劣化する現象で電験にも出題されやすいので覚えておきましょう。

(4)正しい
電界や熱が長時間加わることで,一般に絶縁物の絶縁強度は低下します。

(5)正しい
部分放電は空げき部に電界が集中することで起こる放電であり,絶縁劣化の要因となります。
例えば\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルでは部分放電の特性により絶縁劣化の度合いがわかるため,余寿命診断するために部分放電試験が行われることがあります。