《電力》〈配電〉[H27:問13]低圧配電方式の最大送電電力に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

三相3線式と単相\( \ 2 \ \)線式の低圧配電方式について,三相\( \ 3 \ \)線式の最大送電電力は,単相\( \ 2 \ \)線式のおよそ何%となるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,三相\( \ 3 \ \)線式の負荷は平衡しており,両低圧配電方式の線路こう長,低圧配電線に用いられる導体材料や導体量,送電端の線間電圧,力率は等しく,許容電流は導体の断面積に比例するものとする。

 (1) \( \ 67 \ \)  (2) \( \ 115 \ \)  (3) \( \ 133 \ \)  (4) \( \ 173 \ \)  (5) \( \ 260 \ \)

【ワンポイント解説】

三相3線式がなぜ採用されるかの理由の一つが最大送電電力の大きさにあります。計算結果は簡単ですが,そのメカニズムをよく理解しておくようにして下さい。

【解答】

解答:(2)
題意より,三相\( \ 3 \ \)線式と単相\( \ 2 \ \)線式の使用導体量が等しいので送電線の長さを\(l\),三相\( \ 3 \ \)線式と単相\( \ 2 \ \)線式の断面積をそれぞれ\(S_{3}\),\(S_{2}\)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
3S_{3}l &=&2S_{2}l \\[ 5pt ] S_{3}&=&\frac {2}{3}S_{2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] という関係になる。また,許容電流は導体断面積に比例するので,それぞれの許容電流を\(I_{3}\),\(I_{2}\)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {I_{3}}{I_{2}} &=&\frac {S_{3}}{S_{2}} \\[ 5pt ] &=&\frac {2}{3} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。三相3線式と単相2線式の最大送電電力\(P_{3}\),\(P_{2}\)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
P_{3} &=&\sqrt {3}VI_{3}\cos \theta \\[ 5pt ] P_{2}&=&VI_{2}\cos \theta \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {P_{3}}{P_{2}} &=&\frac {\sqrt {3}VI_{3}\cos \theta }{VI_{2}\cos \theta} \\[ 5pt ] &=&\frac {\sqrt {3}I_{3}}{I_{2}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {3}\times \frac {2}{3} \\[ 5pt ] &≒&1.15 → 115 \ [%] \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。