《電力》〈火力〉[H30:問1]タービン発電機の水素冷却方式の特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,タービン発電機の水素冷却方式の特徴に関する記述である。

水素ガスは,空気に比べ\(\fbox {  (ア)  }\)が大きいため冷却効率が高く,また,空気に比べ\(\fbox {  (イ)  }\)が小さいため風損が小さい。

水素ガスは,\(\fbox {  (ウ)  }\)であるため,絶縁物への劣化影響が少ない。水素ガス圧力を高めると大気圧の空気よりコロナ放電が生じ難くなる。

水素ガスと空気を混合した場合は,水素ガス濃度が一定範囲内になると爆発の危険性があるので,これを防ぐため自動的に水素ガス濃度を\(\fbox {  (エ)  }\)以上に維持している。

通常運転中は,発電機内の水素ガスが軸に沿って機外に漏れないように軸受の内側に\(\fbox {  (オ)  }\)によるシール機能を備えており,機内からの水素ガスの漏れを防いでいる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 比熱 & 比重 & 活性 & 90 \ % & 窒素ガス \\
\hline
(2) & 比熱 & 比重 & 活性 & 60 \ % & 窒素ガス \\
\hline
(3) & 比熱 & 比重 & 不活性 & 90 \ % & 油膜 \\
\hline
(4) & 比重 & 比熱 & 活性 & 60 \ % & 油膜 \\
\hline
(5) & 比重 & 比熱 & 不活性 & 90 \ % & 窒素ガス \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

水素冷却発電機と空気冷却発電機の比較に関する問題は非常によく出題される内容です。大容量化が進んでいる発電所の発電機をできるだけ小型にし、経済的にするために導入された設備です。

1.水素冷却発電機の特徴
①比熱が空気よりはるかに大きく(約14倍),熱伝導率や熱伝達率が高いため,冷却能力が向上する。
②比重が空気よりはるかに小さく(約1/14),ガス密度に比例する風損が小さくなる。
③空気より不活性であり,コロナ発生電圧が高く,例えコロナが発生してもコイルへの影響が少ないのでコイル絶縁の寿命が長くなる。
④爆発範囲が4~75%と非常に広いため,水素ガス純度管理に十分注意する必要がある。特にメンテナンス時は,一旦炭酸ガスで置換してから空気で置換する等注意が必要となる。

【解答】

解答:(3)
(ア)
ワンポイント解説「1.水素冷却発電機の特徴」の通り,比熱は空気より大きいです。

(イ)
ワンポイント解説「1.水素冷却発電機の特徴」の通り,比重は空気より小さい(空気より軽い)です。

(ウ)
ワンポイント解説「1.水素冷却発電機の特徴」の通り,水素は空気より不活性です。

(エ)
ワンポイント解説「1.水素冷却発電機の特徴」の通り,水素は爆発範囲が4~75%と非常に広いため,水素ガス濃度が\(90 \ %\)以上(実際にはもっと上)になるように維持しています。

(オ)
発電機内の水素はタービン軸を伝わり外に漏えいしないように,密封油装置から絶縁油を給油し,軸受部に油膜を形成させます。