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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
地中送電線路の線路定数に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 架空送電線路の場合と同様,一般に,導体抵抗,インダクタンス,静電容量を考える。
(2) 交流の場合の導体の実効抵抗は,表皮効果及び近接効果のため直流に比べて小さくなる。
(3) 導体抵抗は,温度上昇とともに大きくなる。
(4) インダクタンスは,架空送電線路に比べて小さい。
(5) 静電容量は,架空送電線路に比べてかなり大きい。
【ワンポイント解説】
地中送電線路の線路定数に関する問題です。
線路定数まで触れられている電験の参考書は少ないため,受験生としては少し厳しい選択肢もあったかもしれませんが,誤り自体は表皮効果の知識があれば見つけられるかと思います。
1.架空送電線路と地中送電線路の線路定数の比較
架空送電線路も地中送電線路も抵抗,作用インダクタンス,作用静電容量,漏れコンダクタンスを線路定数として扱います。
専門書を紐解いていくと,非常に長い式があり,どちらが大きいのかを定量的に記載してありますが,電験対策としては感覚的な理解で大小を覚えると良いかと思います。
①抵抗
導体内の電流分布が外側に集中する表皮効果や電線同士が近いことで電流の偏りが生じる近接効果により,地中送電線の方が若干大きくなります。
②作用インダクタンス
線間距離が大きい方が作用インダクタンスは大きくなるため,架空送電線の方がインダクタンスは大きくなります。
③作用静電容量
ケーブルの構造上,絶縁体を導体で挟んだ構造となるため,地中送電線の方が作用静電容量ははるかに大きくなります。
④漏れコンダクタンス
がいし表面を流れる電流やコロナ損をコンダクタンスに換算したものですが,その値は非常に小さいので,一般に無視されます。
【解答】
解答:(2)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.架空送電線路と地中送電線路の線路定数の比較」の通り,架空送電線路の場合と同様,一般に,導体抵抗,インダクタンス,静電容量を考えます。
(2):誤り
ワンポイント解説「1.架空送電線路と地中送電線路の線路定数の比較」の通り,交流の場合の導体の実効抵抗は,表皮効果及び近接効果のため直流に比べて大きくなります。
(3):正しい
問題文の通り,一般に導体の抵抗は温度上昇とともに大きくなります。
(4):正しい
ワンポイント解説「1.架空送電線路と地中送電線路の線路定数の比較」の通り,地中送電線のインダクタンスは,架空送電線路に比べて小さくなります。
(5):正しい
ワンポイント解説「1.架空送電線路と地中送電線路の線路定数の比較」の通り,地中送電線の静電容量は,架空送電線路に比べてかなり大きいです。