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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく変圧器の電路の絶縁耐力試験に関する記述である。
変圧器(放電灯用変圧器,エックス線管用変圧器等の変圧器,及び特殊用途のものを除く。)の電路は,次のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
① 表の中欄に規定する試験電圧を,同表の右欄で規定する試験方法で加えたとき,これに耐える性能を有すること。
② 日本電気技術規格委員会規格\( \ \mathrm {JESC} \ \mathrm {E7001} \left( 2018\right) \ \)「電路の絶縁耐力の確認方法」の「\(3.2 \ \)変圧器の電路の絶縁耐力の確認方法」により絶縁耐力を確認したものであること。
上記の記述に関して,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 表中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 6 \ 900 & 1.1 & 500 & 1.25 \\
\hline
(2) & 6 \ 950 & 1.25 & 600 & 1.5 \\
\hline
(3) & 7 \ 000 & 1.5 & 600 & 1.25 \\
\hline
(4) & 7 \ 000 & 1.5 & 500 & 1.25 \\
\hline
(5) & 7 \ 200 & 1.75 & 500 & 1.75 \\
\hline
\end{array}
\]
(b) 公称電圧\( \ 22 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)の電線路に接続して使用される受電用変圧器の絶縁耐力試験を,表の記載に基づき実施する場合の試験電圧の値\( \ \mathrm {[V]} \ \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \( \ 28 \ 750 \ \) (2) \( \ 30 \ 250 \ \) (3) \( \ 34 \ 500 \ \) (4) \( \ 36 \ 300 \ \) (5) \( \ 38 \ 500 \ \)
【ワンポイント解説】
電気設備技術基準の解釈第16条からの出題です。
一見\( \ \mathrm {B} \ \)問題としては易しそうな問題ですが,(a)の(ウ)の選択肢が電気的にやや特殊な電圧であるため,多くの受験生が間違えたのではないかと考えられます。
1.最大使用電圧
最大使用電圧は下表のとおりとなりますが,電験で出題されるのは係数\(\displaystyle \frac {1.15}{1.1}\)のみです。
<電気設備技術基準の解釈第1条(抜粋)>
【解答】
(a)解答:(4)
(ア)
電気設備技術基準の解釈第16条第1項16-1表の通り,「\( \ 7 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)」となります。
(イ)
電気設備技術基準の解釈第16条第1項16-1表の通り,「\( \ 1.5 \ \)倍」となります。
(ウ)
電気設備技術基準の解釈第16条第1項16-1表の通り,「\( \ 500 \ \mathrm {V} \ \)」となります。
(エ)
電気設備技術基準の解釈第16条第1項16-1表の通り,「\( \ 1.25 \ \)倍」となります。
(b)解答:(1)
公称電圧\( \ 22 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)なので,変圧器の最大使用電圧\( \ E_{\mathrm {m}} \ \)は,ワンポイント解説「1.最大使用電圧」より,
\[
\begin{eqnarray}
E_{\mathrm {m}}&=&\frac {1.15}{1.1}\times 22000 \\[ 5pt ]
&=&23000 \ \mathrm {[ V ] } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,試験電圧\( \ V_{\mathrm {t}} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {t}}&=&1.25\times E_{\mathrm {m}} \\[ 5pt ]
&=&1.25\times 23000 \\[ 5pt ]
&=&28750 \ \mathrm {[ V ] } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
<電気設備の技術基準の解釈第16条(抜粋)>
変圧器(放電灯用変圧器、エックス線管用変圧器、吸上変圧器、試験用変圧器、計器用変成器、第191条第1項に規定する電気集じん応用装置用の変圧器、同条第2項に規定する石油精製用不純物除去装置の変圧器その他の特殊の用途に供されるものを除く。以下この章において同じ。)の電路は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
一 16-1表中欄に規定する試験電圧を、同表右欄に規定する試験方法で加えたとき、これに耐える性能を有すること。
※1:試験される巻線と他の巻線、鉄心及び外箱との間に試験電圧を連続して10分間加える。
※2:試験される巻線の中性点端子、他の巻線(他の巻線が2以上ある場合は、それぞれの巻線)の任意の1端子、鉄心及び外箱を接地し、試験される巻線の中性点端子以外の任意の1端子と大地との間に試験電圧を連続して10分間加える。
※3:試験される巻線の中性点端子、他の巻線(他の巻線が2以上ある場合は、それぞれの巻線)の任意の1端子、鉄心及び外箱を接地し、試験される巻線の中性点端子以外の任意の1端子と大地との間に試験電圧を連続して10分間加え、更に中性点端子と大地との間に最大使用電圧の0.3倍の電圧を連続して10分間加える。
※4:試験される巻線の中性点端子(スコット結線にあっては、T座巻線と主座巻線の接続点端子。以下この項において同じ。)以外の任意の1端子、他の巻線(他の巻線が2以上ある場合は、それぞれの巻線)の任意の1端子、鉄心及び外箱を接地し、試験される巻線の中性点端子以外の各端子に三相交流の試験電圧を連続して10分間加える。ただし、三相交流の試験電圧を加えることが困難である場合は、試験される巻線の中性点端子及び接地される端子以外の任意の1端子と大地との間に単相交流の試験電圧を連続して10分間加え、更に中性点端子と大地との間に最大使用電圧の0.64倍(スコット結線にあっては、0.96倍)の電圧を連続して10分間加えることができる。
(備考) 電位変成器を用いて中性点を接地するものは、中性点非接地式とみなす。