《法規》〈電気事業法〉[R4下:問10]電気事業法に基づく広域的運営に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電気事業法及び電気事業法施行規則に基づく広域的運営に関する記述である。

電気事業者は,毎年度,電気の供給並びに電気工作物の設置及び運用についての\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を作成し,電力広域的運営推進機関\( \ \left( \mathrm {OCCTO}\right) \ \)を経由して経済産業大臣に届け出なければならない。

具体的には,直近年における\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)見通し,発電,受電(融通を含む。)等の短期的な内容に関するものと,長期\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)見通し,電気工作物の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)及びその概要,あるいは他者の電源からの長期安定的な調達等長期的な内容に関するものとがある。

また,電気事業者は,電源開発の実施,電気の供給等その事業の遂行に当たり,広域的運営による電気の\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)のために,相互に協調しなければならないことが定められている。

広域的運営による相互協調の具体的な例として,\( \ \mathrm {A} \ \)地方に太陽電池発電や風力発電などの発電量を調整できない再生可能エネルギーが大量に導入された場合において,\( \ \mathrm {A} \ \)地方における電圧,周波数を維持する観点から,\( \ \mathrm {A} \ \)地方で消費しきれない電気を隣接する\( \ \mathrm {B} \ \)地方に融通するといった\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)事業者間の広域運営による相互協調がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) &  供給計画  &  経営  &  新増設  &  コスト低減  &  一般送配電  \\
\hline
(2) &  需要計画  &  需要  &  新増設  &  コスト低減  &  発電  \\
\hline
(3) &  供給計画  &  需要  &  新増設  &  安定供給  &  一般送配電  \\
\hline
(4) &  需要計画  &  経営  &  補修計画  &  コスト低減  &  発電  \\
\hline
(5) &  供給計画  &  需要  &  補修計画  &  安定供給  &  発電  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気事業法第28条,第29条及び電気事業法施行規則第46条等からの出題です。
電力の広域的運営は令和4年度上期問9にも出題されたので,今後も頻繁に出題されることが予想されます。
もちろん条文で覚えても良いですが,電力広域的運営推進機関(OCCTO)のホームページでも比較的わかりやすく説明されていいるため,そちらで学習するのもオススメです。

【解答】

解答:(3)
(ア)
電気事業法第29条第1項の通り,「供給計画」となります。

(イ)
電気事業法施行規則第46条第2項の通り,「需要」となります。

(ウ)
条文では具体的な記載はありませんが,供給計画届出書の様式第32では,電気工作物の「新増設」といった計画書を作成する必要があります。

(エ)
電気事業法第28条の通り,「安定供給」となります。

(オ)
電気事業法第29条第6項の通り,問題文のような振替供給は「一般送配電」事業者間の広域運営による相互協調となります。

<電気事業法第28条>
電気事業者及び発電用の自家用電気工作物を設置する者(電気事業者に該当するものを除く。)は、電源開発の実施、電気の供給、電気工作物の運用等の遂行に当たり、広域的運営による電気の(エ)安定供給の確保その他の電気事業の総合的かつ合理的な発達に資するように、相互に協調しなければならない。

<電気事業法第29条(抜粋)>
電気事業者は、経済産業省令で定めるところにより、毎年度、当該年度以降経済産業省令で定める期間における電気の供給並びに電気工作物の設置及び運用についての計画(以下「(ア)供給計画」という。)を作成し、当該年度の開始前に(電気事業者となった日を含む年度にあつては、電気事業者となつた後遅滞なく)、推進機関を経由して経済産業大臣に届け出なければならない。

6 経済産業大臣は、前項の規定による勧告をした場合において特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは、電気事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。ただし、第一号に掲げる事項は送電事業者に対して、(オ)第二号に掲げる事項は小売電気事業者、発電事業者及び特定卸供給事業者に対して、第三号に掲げる事項は送電事業者、発電事業者及び特定卸供給事業者に対しては、命ずることができない。

 一 小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に電気を供給すること。

 二 (オ)振替供給を行うこと。

 三 電気の供給を受けること。

 四 電気事業者に電気工作物を貸し渡し、若しくは電気事業者から電気工作物を借り受け、又は電気事業者と電気工作物を共用すること。

 五 前各号に掲げるもののほか、広域的運営を図るために必要な措置として経済産業省令で定めるものをとること。

<電気事業法施行規則第46条(抜粋)>
法第29条第1項の規定による届出をしようとする者は、次の表の上欄に掲げる者の区分に応じ、同表の中欄に掲げる事項について、同表の下欄に定める期間における計画を記載した様式第32の供給計画届出書を提出しなければならない。

一般送配電事業者(初年度以降10年間)

 一 年度別の最大電力の供給に関すること

 二 年度別の電力量の供給に関すること

 三 使用を開始し、又は能力を変更する主要な送電線路及び変電所に関すること

 四 広域系統整備計画に関すること

 五 電気の取引に関すること

2 前項の供給計画届出書には、次の表の上欄に掲げる者の区分に応じ、同表の下欄に掲げる書類を添付しなければならない。

一般送配電事業者

 一 様式第36の初年度及び第二年度における電気の取引に関する計画書

 二 供給区域内において行う電気の供給に対する(イ)需要について記載した様式第33の供給区域需要電力量想定書

 三 供給区域における周波数制御、需給調整その他の系統安定化業務に必要となる電源等の能力確保状況について記載した様式第33の2の調整力確保計画書

 四 供給区域における周波数の標準周波数に比した変動の割合について、前年度の実績を記載した様式第37の周波数滞在率実績表

 五 様式第38の初年度、第五年度及び第十年度の各年度末における電力系統の状況を記載した書面

 六 初年度及び第五年度の最大需要電力発生時における電力潮流の状況を記載した書類

 七 様式第38の2の初年度、第五年度及び第十年度の会社間連系線ごとの送電容量並びに最大需要電力発生時における運用容量及び受給電力を記載した書類