《法規》〈電気施設管理〉[R4下:問9]全停電作業を実施するときの操作手順に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,図に示す高圧受電設備において全停電作業を実施するときの操作手順の一例について,その一部を述べたものである。

a) \( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を全て開放する。

b) \( \ \fbox {  (イ)  } \ \)を開放する。

c) 地絡方向継電装置付高圧交流負荷開閉器\( \ \left( \mathrm {DGR}\right. \ \)付\( \ \left. \mathrm {PAS}\right) \ \)を開放する。

d) \( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)を開放する。

e) 断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \)の電源側及び負荷側を検電して無電圧を確認する。

f) 高圧電路に接地金具等を接続して残留電荷を放電させた後,誤通電,他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため,断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \)の\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)に短絡接地器具を取り付けて接地する。

g) 断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \),開閉器等にはそれぞれ操作後速やかに,操作禁止,投入禁止,通電禁止等の通電を禁止する表示をする。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & {\displaystyle 負荷開閉器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {LBS}\right)} & {\displaystyle 断路器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {DS}\right)} & {\displaystyle 真空遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {VCB}\right)} &  負荷側  \\
\hline
(2) & {\displaystyle 配線用遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {MCCB}\right)} & {\displaystyle 断路器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {DS}\right)} & {\displaystyle 真空遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {VCB}\right)} &  負荷側  \\
\hline
(3) & {\displaystyle 配線用遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {MCCB}\right)} & {\displaystyle 真空遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {VCB}\right)} & {\displaystyle 断路器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {DS}\right)} &  電源側  \\
\hline
(4) & {\displaystyle 負荷開閉器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {LBS}\right)} & {\displaystyle 断路器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {DS}\right)} & {\displaystyle 真空遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {VCB}\right)} &  電源側  \\
\hline
(5) & {\displaystyle 負荷開閉器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {LBS}\right)} & {\displaystyle 真空遮断器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {VCB}\right)} & {\displaystyle 断路器}\atop {\displaystyle \left( \mathrm {DS}\right)} &  負荷側  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

高圧受電設備の停電作業実施時の操作手順に関する問題です。
現場を扱っている人が圧倒的に有利な問題ですが,停止時には必ず遮断器を操作した後断路器を操作しなければならないということは覚えておきましょう。
また,本問の操作は一つの方法ではありますが,遮断器と断路器の絶対的な順序以外は現場により操作方法が若干異なることがありますので,それぞれの現場の作業手順に準じて作業するようにしましょう。

1.遮断器,開閉器,断路器
断路器,開閉器,遮断器はいずれも開閉設備ですが,用途が異なるためそれぞれの遮断できる電流値が異なります。
電験では細かな構造等は出題されませんが,その違いを理解しておくようにしましょう。
①遮断器
電路の開閉を行う装置の中で,最も大きな電流を開閉できる装置です。
通常運転時の電流のみでなく,短絡・地絡事故時に発生する故障電流を遮断して,事故箇所を切り離す役割があります。
電路開閉時にアークが発生するため,アークを消弧する機能を有し,その方法により,ガス遮断器,真空遮断器,空気遮断器,油遮断器,磁気遮断器等があります。
現在は\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスをアークに吹き付け消弧するガス遮断器と真空バルブ内でアークを拡散させて消弧する真空遮断器が主流であり,電験でも出題が多いのはガス遮断器真空遮断器に関する内容です。

②開閉器
通常運転時の負荷電流は遮断することは可能ですが,事故時の故障電流は遮断することができない開閉装置です。
発変電所等の特別高圧ではなく,配電線路での開閉に使用されることが多い設備です。
気中開閉器\( \ \left( \mathrm {PAS} \right) \ \)や真空開閉器\( \ \left( \mathrm {VCS} \right) \ \),ガス開閉器\( \ \left( \mathrm {PGS} \right) \ \)等があります
電験では配電の内容である,高圧カットアウトや区分開閉器に関する問題が出題されることが多いです。

③断路器
通電時には開閉できず,電流が流れていないときに開閉可能な開閉装置です。ただし,変圧器の励磁電流等の小さな電流は開閉することが可能です。
電路の保守作業を行う際等に作業箇所を切り離すために開閉することが多いです。
遮断器とセットで使用されることが多く,送電停止時には遮断器を開放してから断路器を開放し,送電開始時には断路器を投入してから遮断器を投入します。

【解答】

解答:(3)
(ア)
停電作業時,負荷側の機器の停止を確認した上で配線用遮断器\( \ \left( \mathrm {MCCB}\right) \ \)を操作します。

(イ)
ワンポイント解説「1.遮断器,開閉器,断路器」の通り,断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \)の前に必ず真空遮断器\( \ \left( \mathrm {VCB}\right) \ \)を開放します。

(ウ)
真空遮断器\( \ \left( \mathrm {VCB}\right) \ \)を開放した後,断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \)を開放します。

(エ)
高圧電路に接地金具等を接続して残留電荷を放電させた後,高圧回路からの誘導が発生した場合や誤って通電されてしまった場合でも作業者の安全を確保するため断路器\( \ \left( \mathrm {DS}\right) \ \)の電源側に短絡接地器具を取り付けます。