《法規》〈電気関係報告規則〉[R07上:問2]自家用電気工作物を設置する事業場の事故報告に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

受電電圧\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)の自家用電気工作物を設置する事業場における次の事例のうち,電気関係報告規則に基づいて,設置者が所轄産業保安監督部長に対し報告すべき事故に該当しないものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 電圧\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)の屋内配線が過負荷により高熱となり,電気火災が発生して建物が半焼した。

(2) 落雷により高圧負荷開閉器が焼損し,一般送配電事業者に供給支障事故を発生させた。

(3) 高圧の断路器を誤って操作した電気工事作業者が,発生したアーク熱により火傷を負い,病院に入院した。

(4) 高圧の受電用真空遮断器が誤操作により損傷し,操作不能になった。

(5) 構内第\( \ 1 \ \)号柱が折損して構外に隣接する需要家の建物を損傷させた。

【ワンポイント解説】

電気関係報告規則第3条からの出題です。
報告のポイントは重症(死亡又は入院),半焼以上,他の人に迷惑をかけたかどうかです。破損事故の報告は主要電気工作物に関しては必要で第4号に具体的に規定されていますが,電験ではあまり出題されていません。
第2項の事故報告の方法についても出題されやすいので覚えておきましょう。
本問は平成9年問8とほぼ同じ問題ですが,令和6年上期問2でも類題が出題されていたので,最新の過去問から順番に勉強されていた方は解けた可能性が高い問題と言えます。

【解答】

解答:(4)
(1)正しい
電気関係報告規則第3条第1項2号の通り,「電気火災が発生して建屋が半焼した」ため,事故報告の対象となります。

(2)正しい
電気関係報告規則第3条第1項12号の通り,「一般送配電事業者に供給支障を発生させた」ため,事故報告の対象となります。

(3)正しい
電気関係報告規則第3条第1項1号の通り,「病院に入院した」ため,事故報告の対象となります。

(4)誤り
電気関係報告規則第3条第1項3号の通り,「真空遮断器が損傷し,操作不能になった」だけでは,人身事故ではなく他の物件に損傷も与えていないので事故報告の対象となりません。

(5)正しい
電気関係報告規則第3条第1項3号の通り,「構外に隣接する需要家の建物に損傷を与えた」ため,事故報告の対象となります。

<電気関係報告規則第3条(抜粋)>
電気事業者(法第38条第4項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は,電気事業者にあっては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して,自家用電気工作物を設置する者にあっては自家用電気工作物(鉄道営業法,軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される自家用電気工作物であって,発電所,変電所又は送電線路(電気鉄道の専用敷地内に設置されるものを除く。)に属するもの(変電所の直流き電側設備又は交流き電側設備を除く。)以外のもの及び原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して,次に掲げる事故が発生したときは,電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において,\( \ 2 \ \)以上の号に該当する事故であって報告先の欄に掲げる者が異なる事故は,経済産業大臣に報告しなければならない。

一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故((3)死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。

二 電気火災事故(工作物にあっては,その(1)半焼以上の場合に限る。

三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより,(4)(5)他の物件に損傷を与え,又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故

十二 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物,配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧\( \ 3 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)以上の(2)自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者,配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故

2 前項の規定による報告は,事故の発生を知った時から\( \ 24 \ \)時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所,事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について,電話等の方法により行うとともに,事故の発生を知った日から起算して\( \ 30 \ \)日以内に様式第13の報告書を提出して行わなければならない。