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【問題】
【難易度】★☆☆☆☆(易しい)
次の文章は,電力用コンデンサに関する記述である。
電力用コンデンサには,進相コンデンサ,調相コンデンサ及び直列コンデンサがあり,さらにフィルタ用コンデンサやサージ吸収用コンデンサなどを含めることがある。電力用コンデンサは,一般的に複数枚の薄葉誘電体を金属はく電極とともに巻き込み,リード線を引き出した単位コンデンサの集合で構成し,容器などに収納したものである。また,電極として蒸着金属が用いられることがある。誘電体には,広い面積にわたり厚さが均一であること,適当な機械的強度を有すること,誘電率が\( \ \fbox { (ア) } \ \)その温度変化が少ないこと,誘電正接が\( \ \fbox { (イ) } \ \)絶縁抵抗及び絶縁耐力が\( \ \fbox { (ウ) } \ \)こと,耐熱性に優れ長期安定性に優れていることなどが求められる。
電力用コンデンサの\( \ \fbox { (エ) } \ \)点検としては,油漏れ,発錆,がいしの汚損,容器の変形,端子部の過熱及び機器の異常加熱などの有無について確認を行う。また,数年ごとあるいは異常発生時に行う\( \ \fbox { (オ) } \ \)点検として,\( \ \fbox { (エ) } \ \)点検項目のほかにコンデンサの静電容量・損失の測定,端子-外箱間の絶縁抵抗測定,耐電圧試験などを実施する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 高く & 大きく & 高い & 日常 & 特別 \\
\hline
(2) & 高く & 小さく & 高い & 日常 & 特別 \\
\hline
(3) & 高く & 小さく & 低い & 特別 & 日常 \\
\hline
(4) & 低く & 大きく & 高い & 特別 & 日常 \\
\hline
(5) & 低く & 大きく & 低い & 特別 & 日常 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
電力用コンデンサに関する問題です。
コンデンサの特性や点検等,専門的な内容で一見難しそうに見えますが,コンデンサや点検項目のある程度の知識があれば正答を導き出すことができる問題です。
よく問題文を読んで間違えないようにして下さい。
本問は平成29年問9からの再出題となります。
1.誘電体損
理想的なコンデンサは静電容量のみですが,実際のコンデンサには機器損失もあり,損失分も合わせ一相分等価回路は図1のように抵抗\( \ R \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)と静電容量\( \ C \ \mathrm {[F]} \ \)の並列回路となり,図2のベクトル図に示すような電流が流れます。ただし,\( \ \dot E \ \mathrm {[V]} \ \)はコンデンサに加わる電圧の相電圧となります。
この時の静電容量分に流れる電流\( \ I_{\mathrm {C}} \ \mathrm {[A]} \ \)に対する抵抗分に流れる電流\( \ I_{\mathrm {R}} \ \mathrm {[A]} \ \)の割合\( \ \displaystyle \frac {I_{\mathrm {R}}}{I_{\mathrm {C}}}=\tan \delta \ \)を誘電正接と呼び,コンデンサが劣化してくると大きくなります。
コンデンサの誘電体損\( \ W_{\mathrm {d}} \ \mathrm {[W]} \ \)は,コンデンサに加わる電圧(線間電圧)を\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \),周波数を\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \),角周波数を\( \ \omega =2\pi f \ \mathrm {[rad / s]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
W_{\mathrm {d}}&=&3\frac {V}{\sqrt {3}}I_{\mathrm {R}} \\[ 5pt ]
&=&3\frac {V}{\sqrt {3}}I_{\mathrm {C}}\tan \delta \\[ 5pt ]
&=&3\frac {V}{\sqrt {3}}\left( \omega C\frac {V}{\sqrt {3}}\right) \tan \delta \\[ 5pt ]
&=&\omega CV^{2}\tan \delta \\[ 5pt ]
&=&2\pi f CV^{2}\tan \delta \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,誘電体損は電圧\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \)の\( \ 2 \ \)乗に比例し,周波数\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \),誘電正接\( \ \tan \delta \ \)に比例することがわかります。
【解答】
解答:(2)
(ア)
静電容量\( \ C \ \mathrm {[F]} \ \)は誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F / m]} \ \),電極の面積\( \ S \ \mathrm {[m^{2}]} \ \),電極間の距離\( \ d \ \mathrm {[m]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
C&=&\frac {\varepsilon S}{d} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で求められ,誘電率は高くなると静電容量が大きくなり特性として優れていることになります。
(イ)
ワンポイント解説「1.誘電体損」の通り,誘電正接\( \ \tan \delta \ \)が小さくなると誘電体損が小さくなるので,特性として優れていることになります。
(ウ)
一般に電気機器においては,絶縁抵抗や絶縁耐力は十分に高いことが求められます。
(エ)
油漏れ,発錆,がいしの汚損,容器の変形,等目視などの五感を使った外観による点検を日常点検といいます。
(オ)
数年ごとあるいは異常発生時に日常点検項目に加え測定機器も用いて行う点検を特別点検といいます。














愛知県出身 愛称たけちゃん
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