《機械》〈電気機器〉[H27:問11]太陽光発電システムに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,太陽光発電システムに関する記述である。

図1には,商用交流系統に接続して電力を供給する太陽光発電システムの基本的な構成の一つを示す。

シリコンを主な材料とした太陽電池は,通常\(1\mathrm {V}\)以下のセルを多数直列接続した数十ボルト以上の直流電源である。電池の特性としては,横軸に電圧を,縦軸に\(\fbox {  (ア)  }\)をとると,図2のようにその特性曲線は上に凸の形となり,その時々の日射量,温度などの条件によって特性が変化する。使用するセル数をできるだけ少なくするために,図2の変化する特性曲線において,△印で示されている最大点で運転するよう制御を行うのが一般的である。

この最大点の運転に制御し,変動する太陽電池の電圧を一定の直流電圧に変換する図1の\(\mathrm {A}\)部分は\(\fbox {  (イ)  }\)である。現在家庭用などに導入されている多くの太陽光発電システムでは,この一定の直流電圧を図1の\(\mathrm {B}\)部分の\(\mathrm {PWM}\)インバータを介して商用周波数の交流電圧に変換している。交流系統の端子において,インバータ出力の電流位相は交流系統の電圧位相に対して通常ほぼ\(\fbox {  (ウ)  }\)になるように運転され,インバータの小形化を図っている。

一般的に,インバータは電圧源であり,その出力が接続される交流系統も電圧源とみなせる。そのような接続には,\(\fbox {  (エ)  }\)成分を含む回路要素を間に挿入することが必須である。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  電 力  &  昇圧チョッパ  & 同 相 &  インダクタンス  \\
\hline
(2) & 電 流 & 昇圧チョッパ &  90°位相進み  & キャパシタンス \\
\hline
(3) & 電 力 & 降圧チョッパ & 同 相 & インダクタンス \\
\hline
(4) & 電 力 & 昇圧チョッパ &  90°位相進み  & インダクタンス \\
\hline
(5) & 電 流 & 降圧チョッパ &  90°位相進み  & キャパシタンス \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

太陽光発電は図1に示すように発電電圧が直流となるため,系統に接続する前にパワーコンディショナーにより,直流を交流に変換します。

1.直流チョッパ
直流チョッパは図3に示すような降圧チョッパ,図4に示すような昇圧チョッパ等があります。平均出力電圧\(V_{\mathrm {d}}\)は,
降圧チョッパでは,
\[
V_{\mathrm {d}}=\frac {T_{\mathrm {ON}}}{T_{\mathrm {ON}}+T_{\mathrm {OFF}}}
\] 昇圧チョッパでは,
\[
V_{\mathrm {d}}=\frac {T_{\mathrm {ON}}+T_{\mathrm {OFF}}}{T_{\mathrm {OFF}}}
\] となります。


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  降圧チョッパ回路の理論
  昇圧チョッパ回路の理論

【解答】

解答:(1)
(ア)
図2に示すように,太陽光発電の出力はある値まで電圧にほぼ比例した値となります。電流は同値までほぼ一定となります。

(イ)
ワンポイント解説「1.直流チョッパ」の通り,\(\mathrm {A}\)部分は昇圧チョッパとなります。

(ウ)
太陽光発電は電圧と電流位相をほぼ同相になるように運転することにより,無効電力分の設備が不要となり,インバータの小形化が図れます。

(エ)
電圧形インバータはインダクタンス成分を含むリアクトルを間に挿入し,出力電圧と位相を制御し,出力電流を調整します。