《機械》〈照明〉[H21:問11]ハロゲン電球の特徴や利用用途に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

ハロゲン電球では,\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)バルブ内に不活性ガスとともに微量のハロゲンガスを封入してある。点灯中に高温のフィラメントから蒸発したタングステンは,対流によって管壁付近に移動するが,管壁付近の低温部でハロゲン元素と化合してハロゲン化物となる。管壁温度をある値以上に保っておくと,このハロゲン化物は管壁に付着することなく,対流などによってフィラメント近傍の高温部に戻り,そこでハロゲンと解離してタングステンはフィラメント表面に析出する。このように,蒸発したタングステンを低温部の管壁付近に析出することなく高温部のフィラメントへ移す循環反応を,\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)サイクルと呼んでいる。このような化学反応を利用して管壁の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)を防止し,電球の寿命や光束維持率を改善している。

また,バルブ外表面に可視放射を透過し,\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)を\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)するような膜(多層干渉膜)を設け,これによって電球から放出される\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)を低減し,小形化,高効率化を図ったハロゲン電球は,店舗や博物館などのスポット照明用や自動車前照灯用などに広く利用されている。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) &  石英ガラス  &  タングステン  &  白 濁  &  紫外放射  &  反 射  \\
\hline
(2) &  鉛ガラス   &  ハロゲン    &  黒 化  &  紫外放射  &  吸 収  \\
\hline
(3) &  石英ガラス  &  ハロゲン    &  黒 化  &  赤外放射  &  反 射  \\
\hline
(4) &  鉛ガラス   &  タングステン  &  黒 化  &  赤外放射  &  吸 収  \\
\hline
(5) &  石英ガラス  &  ハロゲン    &  白 濁  &  赤外放射  &  反 射  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

ハロゲン電球の特徴と利用用途に関する問題です。
電験での出題頻度は少ない内容ですが,一度理解してしまえばイメージのつきやすく忘れにくい内容かと思いますので,ここで覚えてしまいましょう。

1.電球の発光原理
図1に示すように,ガラス球の中に発光素子であるフィラメントを収め,フィラメントに電流を流すことでジュール熱により熱放射させ発光させるものです。
フィラメントにはタングステンという物質が使用され,タングステンが蒸発し,フィラメントが切れると電球の寿命となります。
電球が劣化してくると電球表面が黒化してくる黒化現象が生じます。

2.ハロゲン電球
電球と同様な構造ですが,石英ガラス管内に不活性ガスとともに微量のハロゲンガスを封入した電球です。
電球と同様,フィラメントに電流を流すことで発光させますが,蒸発したタングステンが石英ガラス表面付近でハロゲン元素と結合してタングステンハライドとなり,また循環してフィラメント近傍に戻り解離して循環を繰り返す,ハロゲンサイクルという循環反応により,電球表面の黒化現象を防止でき,電球より長寿命で拘束維持率も優れているという特徴があります。

【解答】

解答:(3)
(ア)
ワンポイント解説「2.ハロゲン電球」の通り,ハロゲン電球は石英ガラスバルブ内に不活性ガスとともに微量のハロゲンガスが封入してある電球です。

(イ)
ワンポイント解説「2.ハロゲン電球」の通り,ハロゲン電球におけるタングステンの循環反応をハロゲンサイクルといいます。

(ウ)
ワンポイント解説「1.電球の発光原理」及び「2.ハロゲン電球」の通り,タングステンがバルブに付着すると黒化します。

(エ)
(オ)
ハロゲン電球には赤外線反射膜と呼ばれる,赤外放射反射するような膜を設けているものがあり,反射した赤外放射によりフィラメントが温められるので高効率となります。