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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,同期発電機の種類と構造に関する記述である。
同期発電機では一般的に,小容量のものを除き電機子巻線は\(\fbox { (ア) }\)に設けて,導体の絶縁が容易であり,かつ,大きな電流が取り出せるようにしている。界磁巻線は\(\fbox { (イ) }\)に設けて,直流の励磁電流が供給されている。
比較的\(\fbox { (ウ) }\)の水車を原動機とした水車発電機は,\( \ 50 \ \mathrm {Hz} \ \)又は\( \ 60 \ \mathrm {Hz} \ \)の商用周波数を発生させるために磁極数が多く,回転子の直径が軸方向に比べて大きく作られている。
蒸気タービン等を原動機としたタービン発電機は,\(\fbox { (エ) }\)で運転されるため,回転子の直径を小さく,軸方向に長くした横軸形として作られている。磁極は回転軸と一体の鍛鋼又は特殊鋼で作られ,スロットに巻線が施される。回転子の形状から\(\fbox { (オ) }\)同期機とも呼ばれる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 固定子 & 回転子 & 高速度 & 高速度 & 突極形 \\
\hline
(2) & 回転子 & 固定子 & 高速度 & 低速度 & 円筒形 \\
\hline
(3) & 回転子 & 固定子 & 低速度 & 低速度 & 突極形 \\
\hline
(4) & 回転子 & 固定子 & 低速度 & 高速度 & 円筒形 \\
\hline
(5) & 固定子 & 回転子 & 低速度 & 高速度 & 円筒形 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
同期発電機の基本構造と水車と蒸気タービンの比較に関する問題で,どちらも重要な内容となっています。後半の水車と蒸気タービンの比較は電力科目でもよく出題される内容です。
1.回転電機子形と回転界磁形の違い
図1に示すのが回転電機子形で図2に示すのが回転界磁形です。
回転電機子形は電機子が内側(回転子)に界磁が外側(固定子)にあり,回転界磁形はその逆となっています。界磁に供給する電力が少なくすむ等の設計上の理由から,小容量機を除き回転界磁形が採用されます。
2.水車と蒸気タービンの違い
水車は回転数を速くするとキャビテーション等により騒音や振動の発生の問題があるため,回転数を過大にし過ぎないことが重要であること,蒸気タービンは発電機の経済性から考えてできるだけ軽量かつコンパクトにできるよう回転数を大きくするように設計されています。形状や極数はこの理由により決定されます。
\[
\begin{array}{|c|c|c|}
\hline
& 水車発電機 & タービン発電機 \\
\hline
回転速度 & \displaystyle 低速度 \atop \displaystyle 300~750 \ \mathrm {min^{-1}} & \displaystyle 高速度 \atop \displaystyle 1500~3600 \ \mathrm {min^{-1}} \\
\hline
極数 & 8~20 & 2~4 \\
\hline
磁極の形状 & 突極形 & 円筒形 \\
\hline
回転軸 & 縦軸形 & 横軸形 \\
\hline
\end{array}
\]
【解答】
解答:(5)
(ア)
(イ)
ワンポイント解説「1.回転電機子形と回転界磁形の違い」の通り,発電所では小容量のものを除き,電機子巻線は固定子,界磁巻線は回転子に設けます。
(ウ)
ワンポイント解説「2.水車と蒸気タービンの違い」の通り,水車は高速度にするとキャビテーション等の問題が発生するため,低速度で運転されます。
(エ)
ワンポイント解説「2.水車と蒸気タービンの違い」の通り,タービン発電機は高速度で運転します。
(オ)
ワンポイント解説「2.水車と蒸気タービンの違い」の通り,タービン発電機は高速度で回転するため,遠心力が過大になりすぎない円筒形の構造が有利となります。