《機械》〈回転機〉[R2:問3]三相かご形誘導電動機の等価回路定数の測定に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

三相かご形誘導電動機の等価回路定数の測定に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,等価回路としては一次換算した一相分の簡易等価回路( L 形等価回路)を対象とする。

(1) 一次巻線の抵抗測定は静止状態において直流で行う。巻線抵抗値を換算するための基準巻線温度は絶縁材料の耐熱クラスによって定められており, 75   115  などの値が用いられる。

(2) 一次巻線の抵抗測定では,電動機の一次巻線の各端子間で測定した抵抗値の平均値から,基準巻線温度における一次巻線の抵抗値を決められた数式を用いて計算する。

(3) 無負荷試験では,電動機の一次巻線に定格周波数の定格一次電圧を印加して無負荷運転し,一次側において電圧 [V] ,電流 [A] 及び電力 [W] を測定する。

(4) 拘束試験では,電動機の回転子を回転しないように拘束して,一次巻線に定格周波数の定格一次電圧を印加して通電し,一次側において電圧 [V] ,電流 [A] 及び電力 [W] を測定する。

(5) 励磁回路のサセプタンスは無負荷試験により,一次二次の合成漏れリアクタンスと二次抵抗は拘束試験により求められる。

【ワンポイント解説】

3種の参考書には記載の少ない測定や試験に関する出題です。
上位資格を目指すのであれば無負荷試験や拘束試験の内容は知っておいた方が良いですが,合格を目指す上では捨て問としても良いと思います。

1.誘導電動機の無負荷試験
誘導電動機の L 形等価回路は図1のようになります。
無負荷試験時,電動機はほぼ同期速度で回転するので滑り s が零となり, r2s が非常に大きな値となるため二次電流 I2 が流れず,電流は励磁回路のみに流れることになります。
したがって,このとき測定される電圧 V [V] ,電流 I [A] 及び電力 P [W] により励磁コンダクタンス g0 [S] 及び励磁サセプタンス b0 [S] が求められることになります。

2.誘導電動機の拘束試験
拘束試験時,電動機の回転子を拘束するので滑り s=1 となるため,回路は図2のようになります。ただし,励磁回路の電流は十分に小さいものとして,無視しています。
測定される電圧 V [V] ,電流 I [A] 及び電力 P [W] により,一次抵抗と二次抵抗の一次換算値の和 r1+r2 及び一次漏れリアクタンスと二次漏れリアクタンスの一次換算値の和 x1+x2 が求められることになります。
拘束試験は,入力電流 I1 [A] が定格電流になるように一次電圧 V1 [V] を調整します。

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【解答】

解答:(4)
(1)正しい
一次巻線の抵抗測定は静止状態において直流で行います。巻線抵抗値を換算するための基準巻線温度は絶縁材料の耐熱クラスによって定められており, 75   A 種, E 種, B 種)や 115   F 種, H 種)などの値が用いられます。

(2)正しい
問題文の通り,一次巻線の抵抗測定では,電動機の一次巻線の各端子間で測定した抵抗値の平均値から,基準巻線温度における一次巻線の抵抗値を決められた数式を用いて計算します。(細かな数式の知識は不要です。)

(3)正しい
ワンポイント解説「1.誘導電動機の無負荷試験」の通り,無負荷試験では電動機の一次巻線に定格周波数の定格一次電圧を印加して無負荷運転し,励磁コンダクタンス g0 [S] 及び励磁サセプタンス b0 [S] の値を求めます。

(4)誤り
ワンポイント解説「2.誘導電動機の拘束試験」の通り,拘束試験では,電動機の回転子を回転しないように拘束して,入力電流が定格電流になるように一次電圧を調整します。したがって,定格一次電圧よりも小さい電圧を印加することになります。

(5)正しい
ワンポイント解説「1.誘導電動機の無負荷試験」及び「2.誘導電動機の拘束試験」の通り,励磁回路のサセプタンスは無負荷試験により求められ,一次二次の合成漏れリアクタンスと二次抵抗は拘束試験により求められます。