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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,プロセス制御に関する記述である。
プロセス制御には\( \ \mathrm {PID} \ \)制御が非常によく用いられている。その中で積分動作は主として\( \ \fbox { (ア) } \ \)特性の改善に,微分動作は\( \ \fbox { (イ) } \ \)特性の改善に有効であり,また,\( \ \fbox { (ウ) } \ \)動作は両方の特性を,ともにある程度改善することができる。これらの動作をディジタル処理を介して行う方法が最近よく用いられている。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) & 定 常 & 過 渡 & 加 算 \\
\hline
(2) & 定 常 & 過 渡 & 比 例 \\
\hline
(3) & 過 渡 & 定 常 & 比 例 \\
\hline
(4) & 過 渡 & 定 常 & 加 算 \\
\hline
(5) & 定 常 & 過 渡 & 減 算 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
\( \ \mathrm {PID} \ \)制御の特徴に関する問題です。
内容としては自動制御の分野で必ずと言ってよい程取り上げられる内容ですが,電験の過去問での出題があまり多くないため,受験生によっては勉強が手薄となっている可能性がある問題かと思います。一度理解してしまえばそれほど難解ではないため,この問題で理解するようにしましょう。
本問は平成11年問9からの再出題となります。
1.\( \ \mathrm {PID} \ \)制御
工場のプラント等のプロセス制御でよく用いられる制御で,温度,圧力,流量等を制御する際によく使用されます。
比例動作(\( \ \mathrm {P} \ \)制御),積分動作(\( \ \mathrm {I} \ \)制御),微分動作(\( \ \mathrm {D} \ \)制御)を組み合わせた制御で以下の違いがあります。
①比例動作(\( \ \mathrm {P} \ \))
出力と入力の差(偏差)に比例して操作量を調整します。エアコンで言えば,室温と設定温度が大きければ大きいほど出力を強くするイメージです。偏差に比例して操作量が変化することから,定常状態になっても偏差が残ってしまうオフセットが発生することがあります。
②積分動作(\( \ \mathrm {I} \ \))
偏差の時間積分に比例して操作量を調整します。これにより,比例動作で残ったオフセットを改善することができますが,変動が大きい場合には制御に遅れが生じてしまう可能性があります。
③微分動作(\( \ \mathrm {D} \ \))
入力の時間変化に比例して操作量を調整します。温度変化が大きい場合に操作量を増やすため,制御遅れや変化が大きい場合の過渡特性の改善に優れていますが,ハンチングを起こす可能性があるため,単独で用いられることは少なく他の動作と組み合わせて使用します。
【解答】
解答:(2)
(ア)
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {PID} \ \)制御」の通り,積分動作は定常特性の改善に有効です。
(イ)
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {PID} \ \)制御」の通り,微分動作は過渡特性の改善に有効です。
(ウ)
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {PID} \ \)制御」の通り,比例動作は定常特性及び過渡特性の両方の特性をある程度改善することができます。