【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
リチウムイオン二次電池と比較した電気二重層キャパシタの特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) エネルギー密度\( \ \mathrm {[J / kg]} \ \)が小さい。
(2) 出力密度\( \ \mathrm {[W / kg]} \ \)が大きい。
(3) 充放電の繰り返しによる劣化のため,寿命が短い。
(4) 自己放電による電圧の低下が速い。
(5) 急速充電が可能である。
【ワンポイント解説】
電気二重層キャパシタの特徴に関する問題です。
近年は電力負荷の平準化のため等の目的に電力貯蔵設備の普及が進んでいますが,電験のテキストではカバーできていない範囲になるかと思います。
電力科目でも出題される可能性もあるので,概要を理解していくようにして下さい。
1.リチウムイオン電池
リチウムイオンが移動することにより充放電を行うことから「リチウムイオン電池」と呼ばれます。エネルギー密度が非常に高く高い起電力を得ることができ,常温で使用可能なので,パソコンや携帯電話等日常的に扱うものにも多く採用されています。
①材料(反応式は暗記不要です)
正 極:\( \ \mathrm {LiCoO_{2}} \ \)等
負 極:黒鉛等
電解質:有機電解質
②特徴
・エネルギー密度が高く(鉛蓄電池の約\( \ 5 \ \)倍),公称電圧も\( \ 3.6~3.7 \ \mathrm {V} \ \)と高い。
・浅い充電と放電を繰り返すことで電池の容量が減ってしまうメモリー効果という現象が発生しない。
・\( \ 500 \ \)回以上の充放電が可能で,高寿命である。
・高速充電が可能で,充放電効率も良い。
・液体を使用せず凍ることがないため,氷点下から\( \ 60 \ \)℃の高温まで使用可能である。
・充放電時における材料の不安定化により,発火・爆発等の危険性があるため,充放電時の監視保護が別に必要となる。
2.電気二重層キャパシタ
一般のコンデンサと異なり誘電体に電解液を用い,電極と電解液の間の界面にできる電気二重層というものに電荷を蓄えるキャパシタで以下のような特徴があります。細かい原理はありますが,大容量を蓄えられるコンデンサのようなものと考えばわかりやすいです。
・数\( \ 10 \ \)万回以上の充放電サイクルを経ても劣化がほとんど進まず,長寿命・高耐久性である。
・内部抵抗が極めて小さく,化学反応の待ち時間がないため、数秒〜数\( \ 10 \ \)秒での急速充電や瞬時の大電流放電が可能となる。
・凍結・沸騰しない限り動作するため,寒冷地から高温環境まで広い温度範囲で安定して機能する。
・熱暴走による発火リスクが電池に比べて極めて低いため、メンテナンスが容易である。
・電極表面に電荷を保持する構造のため,リチウムイオン電池よりエネルギー密度が低い。
・単セルの耐電圧は電解液の分解電圧に制限されるので,耐電圧が低い。
・電極間の微小なリーク電流による自己放電があり,徐々に端子電圧が低下する。
出典:松定プレシジョン株式会社 HP
URL:https://www.matsusada.co.jp/column/edlc.html
【解答】
解答:(3)
(1):正しい
ワンポイント解説「2.電気二重層キャパシタ」の通り,電気二重層キャパシタはリチウムイオン二次電池よりエネルギー密度\( \ \mathrm {[J / kg]} \ \)が小さいです。
(2):正しい
ワンポイント解説「2.電気二重層キャパシタ」の通り,電気二重層キャパシタはリチウムイオン二次電池より出力密度\( \ \mathrm {[W / kg]} \ \)が大きいです。
(3):誤り
ワンポイント解説「2.電気二重層キャパシタ」の通り,電気二重層キャパシタは充放電の繰り返しによる劣化がないため,寿命が長いです。
(4):正しい
ワンポイント解説「2.電気二重層キャパシタ」の通り,電気二重層キャパシタは自己放電があるので電圧の低下が速めとなります。
(5):正しい
ワンポイント解説「2.電気二重層キャパシタ」の通り,電気二重層キャパシタは急速充電が可能となります。













