《理論》〈電磁気〉[H29:問17]磁気回路に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

巻数\(N\)のコイルを巻いた鉄心1と,空隙(エアギャップ)を隔てて置かれた鉄心2からなる図1のような磁気回路がある。この二つの鉄心の比透磁率はそれぞれ\(\mu _{r1}=2000\),\(\mu _{r2}=1000\)であり,それらの磁路の平均の長さはそれぞれ\(l_{1}=200\mathrm {mm}\),\(l_{2}=98\mathrm {mm}\),空隙長は\(\delta =1\mathrm {mm}\)である。ただし,鉄心1及び鉄心2のいずれの断面も同じ形状とし,磁束は断面内で一様で,漏れ磁束や空隙における磁束の広がりはないものとする。このとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 空隙における磁界の強さ\(H_{0}\)に対する磁路に沿った磁界の強さ\(H\)の比\(\displaystyle \frac {H}{H_{0}}\)を表すおおよその図として,最も近いものを図2の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,図1に示す\(x=0\mathrm {mm}\)から時計回りに磁路を進む距離を\(x\mathrm {\left[ mm\right] }\)とする。また,図2は片対数グラフであり,空隙長\(\delta \mathrm {\left[ mm\right] }\)は実際より大きく表示している。

(b) コイルに電流\(I=1\mathrm {A}\)を流すとき,空隙における磁界の強さ\(H_{0}\)を\(2\times 10^{4}\mathrm {A/m}\)以上とするのに必要なコイルの最小巻数\(N\)の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) 24  (2) 44  (3) 240  (4) 4400  (5) 40400

【ワンポイント解説】

磁気回路は電気回路とは異なり,それほど複雑な回路計算を要求しません。最初はとっつきにくい面もありますが,公式を理解し問題に慣れてしまえば確実に得点源となりますので,本問をしっかりと理解しておきましょう。

1.アンペアの周回積分の法則
環状ソレノイド内部において,コイルの巻数\(N\),電流\(I\),磁路の平均長\(l\)のとき,磁界の強さ\(H\)とすると,
\[
NI=Hl
\] となる。
2.磁束密度\(B\)と磁界の強さ\(H\)の関係
図1において,真空の透磁率\(\mu _{0}\),鉄心1,2の比透磁率\(\mu _{r1}\),\(\mu _{r2}\),真空中の磁界の強さ\(H_{0}\),鉄心1,2中の磁界の強さ\(H_{1}\),\(H_{2}\)とした時,
\[
B=\mu _{0}H_{0}=\mu _{r1}\mu _{0}H_{1}=\mu _{r2}\mu _{0}H_{2}
\] となる。

【解答】

(a)解答:(2)
鉄心1,2中の磁界の強さ\(H_{1}\),\(H_{2}\)とした時,ワンポイント解説「2.磁束密度\(B\)と磁界の強さ\(H\)の関係」より,
\[
B=\mu _{0}H_{0}=\mu _{r1}\mu _{0}H_{1}=\mu _{r2}\mu _{0}H_{2}
\] \[
⇔H_{0}=\mu _{r1}H_{1}=\mu _{r2}H_{2}
\] となるため,これを整理すると,
\[
\frac {H_{1}}{H_{0}}=\frac {1}{\mu _{r1}}=\frac {1}{2000}
\] \[
\frac {H_{2}}{H_{0}}=\frac {1}{\mu _{r2}}=\frac {1}{1000}
\] となる。よって,上式を満たすグラフは(2)となる。

(b)解答:(2)
題意より,\(H_{0}=20000 \mathrm {A/m}\)とすると,
\[
H_{1}=\frac {1}{\mu _{r1}}H_{0}=\frac {1}{2000}\times 20000=10 \mathrm {A/m}
\] \[
H_{2}=\frac {1}{\mu _{r2}}H_{0}=\frac {1}{1000}\times 20000=20 \mathrm {A/m}
\] となる。アンペアの周回積分の法則より,
\[
NI=H_{1}l_{1}+H_{2}l_{2}+2H_{0}\delta
\] であるから,これに,\(I=1\mathrm {A}\),\(H_{1}=10 \mathrm {A/m}\),\(H_{2}=20 \mathrm {A/m}\),\(l_{1}=200\mathrm {mm}\),\(l_{2}=98\mathrm {mm}\),\(\delta =1\mathrm {mm}\)を代入すると,
\[
\begin{eqnarray}
N\times 1&=&10\times 200\times 10^{-3}+20\times 98\times 10^{-3}+2\times 20000\times 1\times 10^{-3} \\[ 5pt ] N&=&2+1.96+40 \\[ 5pt ] &=&43.96≒44
\end{eqnarray}
\] と求められる。