《理論》〈電磁気〉[R3:問4]コイルと磁石を用いた電磁誘導に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電磁誘導に関する記述である。

図のように,コイルと磁石を配置し,磁石の磁束がコイルを貫いている。

1 .スイッチ\( \ \mathrm {S} \ \)を閉じた状態で磁石をコイルに近づけると,コイルには\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)の向きに電流が流れる。

2 .コイルの巻数が\( \ 200 \ \)であるとする。スイッチ\( \ \mathrm {S} \ \)を開いた状態でコイルの断面を貫く磁束を\( \ 0.5 \ \mathrm {s} \ \)の間に\( \ 10 \ \mathrm {mWb} \ \)だけ直線的に増加させると,磁束鎖交数は\( \ \fbox {  (イ)  } \ \mathrm {Wb} \ \)だけ変化する。また,この\( \ 0.5 \ \mathrm {s} \ \)の間にコイルに発生する誘導起電力の大きさは\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \mathrm {V} \ \)となる。ただし,コイル断面の位置によらずコイルの磁束は一定とする。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) &  ①  &  2  &  2  \\
\hline
(2) &  ①  &  2  &  4  \\
\hline
(3) &  ①  &  0.01  &  2  \\
\hline
(4) &  ②  &  2  &  4  \\
\hline
(5) &  ②  &  0.01  &  2  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

ファラデーの電磁誘導の法則に関する問題です。
誘導電流の向きは何度勉強しても間違える方が多いので注意するようにしましょう。コイルは変化を嫌うと考えるとわかりやすいかと思います。

1.ファラデーの電磁誘導の法則
図1において,巻数\( \ N \ \)のコイルに磁石を近づけたとき,貫通する磁束の変化が\( \ \Delta \phi \ \)であるとき,ファラデーの電磁誘導の法則より,コイルに発生する誘導起電力\( \ e \ \)は,磁束の時間変化\( \ \Delta t \ \)に比例し,
\[
\begin{eqnarray}
e&=&−N\frac {\Delta \phi }{\Delta t} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。これをファラデーの電磁誘導の法則といいます。
上式のマイナスの符号は磁束の変化を妨げる方向に誘導起電力が発生するという意味で,これをレンツの法則といいます。レンツの法則から誘導電流の向きは右ねじの法則で求めることができます。

【解答】

解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.ファラデーの電磁誘導の法則」の通り,磁束の変化を妨げる方向すなわち図の右方向に磁束が発生するように誘導電流は流れるので,コイルを流れる電流はの方向となります。

(イ)
鎖交磁束数の変化は\( \ N\Delta \phi \ \)なので,
\[
\begin{eqnarray}
N\Delta \phi &=&200\times 10\times 10^{-3} \\[ 5pt ] &=&2 \ \mathrm {[Wb]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(ウ)
ワンポイント解説「1.ファラデーの電磁誘導の法則」の通り,誘導起電力\( \ e \ \mathrm {[V]} \ \)の大きさは,
\[
\begin{eqnarray}
e&=&N\frac {\Delta \phi }{\Delta t} \\[ 5pt ] &=&200\times \frac {10\times 10^{-3}}{0.5} \\[ 5pt ] &=&4 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。