《法規》〈電気設備技術基準〉[R01:問11]電気使用場所の低圧幹線の施設に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★★★(難しい)

電気使用場所の低圧幹線の施設について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 次の表は,一つの低圧幹線によって電気を供給される電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下この問において「電動機等」という。)の定格電流の合計値\( \ I_{\mathrm {M}} \ \mathrm {[A]} \ \)と,他の電気使用機械器具の定格電流の合計値\( \ I_{\mathrm {H}} \ \mathrm {[A]} \ \)を示したものである。また,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,当該低圧幹線に用いる電線に必要な許容電流は,同表に示す\( \ I_{\mathrm {C}} \ \)の値\( \ \mathrm {[A]} \ \)以上でなければならない。ただし,需要率,力率等による修正はしないものとする。
\[
\begin{array}{|c|c|c|c|}
\hline
 I_{\mathrm {M}} \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {H}} \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {C}} \ \mathrm {[A]}  \\
\hline
47 & 49 & 96 & 96 \\
\hline
48 & 48 & 96 & \fbox {  (ア)  } \\
\hline
49 & 47 & 96 & \fbox {  (イ)  } \\
\hline
50 & 46 & 96 & \fbox {  (ウ)  } \\
\hline
51 & 45 & 96 & 102 \\
\hline
\end{array}
\]

上記の表中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccc}
&  (ア)  &  (イ)  &  (ウ)  \\
\hline
(1) & 96 & 109 & 101 \\
\hline
(2) & 96 & 108 & 109 \\
\hline
(3) & 96 & 109 & 109 \\
\hline
(4) & 108 & 108 & 109 \\
\hline
(5) & 108 & 109 & 101 \\
\hline
\end{array}
\]

(b) 次の表は「電気設備技術基準の解釈」に基づき,低圧幹線に電動機等が接続される場合における電動機等の定格電流の合計値\( \ I_{\mathrm {M}} \ \mathrm {[A]} \ \)と,他の電気使用機械器具の定格電流の合計値\( \ I_{\mathrm {H}} \ \mathrm {[A]} \ \)と,これらに電気を供給する一つの低圧幹線にに用いる電線の許容電流\( \ I_{\mathrm {C}}^{\prime } \ \mathrm {[A]} \ \)と,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値\( \ I_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[A]} \ \)とを示したものである。ただし,需要率,力率等による修正はしないものとする。
\[
\begin{array}{|c|c|c|c|}
\hline
 I_{\mathrm {M}} \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {H}} \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {C}}^{\prime } \ \mathrm {[A]}  &  I_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[A]}  \\
\hline
60 & 20 & 88 & \fbox {  (エ)  } \\
\hline
70 & 10 & 88 & \fbox {  (オ)  } \\
\hline
80 & 0 & 88 & \fbox {  (カ)  } \\
\hline
\end{array}
\] 上記の表中の空白箇所(エ),(オ)及び(カ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccc}
&  (エ)  &  (オ)  &  (カ)  \\
\hline
(1) & 200 & 200 & 220 \\
\hline
(2) & 200 & 220 & 220 \\
\hline
(3) & 200 & 220 & 240 \\
\hline
(4) & 220 & 220 & 240 \\
\hline
(5) & 220 & 200 & 240 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準の解釈第148条からの出題です。電気工事士の試験ではよく類題が出題されているようですが,電験の過去問では私は見たことがありません。参考書でもあまり触れられておらず,電気設備技術基準の解釈においても表にもなっていない内容なので,電気工事士を受験されていない方にはかなり厳しい問題であったと思います。

【解答】

(a)解答:(3)
(ア)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の2の通り,\( \ I_{\mathrm {M}} > I_{\mathrm {H}} \ \)ではないので,電線の許容電流\( \ I_{\mathrm {C}} \ \)は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上となるので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {C}} &=&I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&48+48 \\[ 5pt ] &=&96 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められます。

(イ)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の2の通り,\( \ I_{\mathrm {M}} > I_{\mathrm {H}} \ \)かつ\( \ I_{\mathrm {M}} \ ≦ \ 50 \ \mathrm {[A]} \ \)なので,電線の許容電流\( \ I_{\mathrm {C}} \ \)は、電動機等の定格電流の合計の\( \ 1.25 \ \)倍と他の電気使用機械器具の定格電流の合計値を加えた値以上となるので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {C}} &=&1.25I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&1.25\times 49+47 \\[ 5pt ] &=&108.25 → 109 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められます。

(ウ)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の2の通り,\( \ I_{\mathrm {M}} > I_{\mathrm {H}} \ \)かつ\( \ I_{\mathrm {M}} \ ≦ \ 50 \ \mathrm {[A]} \ \)なので,電線の許容電流\( \ I_{\mathrm {C}} \ \)は、電動機等の定格電流の合計の\( \ 1.25 \ \)倍と他の電気使用機械器具の定格電流の合計値を加えた値以上となるので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {C}} &=&1.25I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&1.25\times 50+46 \\[ 5pt ] &=&108.5 → 109 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められます。

(b)解答:(2)
(エ)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の5の通り,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値\( \ I_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[A]} \ \)は、電動機等の定格電流の合計の\( \ 3 \ \)倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値\( \ I_{\mathrm {B1}} \ \mathrm {[A]} \ \)もしくは低圧幹線の許容電流を\( \ 2.5 \ \)倍した値\( \ I_{\mathrm {B2}} \ \mathrm {[A]} \ \)の小さい方を取れば良いので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {B1}} &=&3I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&3\times 60+20 \\[ 5pt ] &=&200 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] I_{\mathrm {B2}} &=&2.5I_{\mathrm {C}}^{\prime } \\[ 5pt ] &=&2.5\times 88 \\[ 5pt ] &=&220 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,\( \ I_{\mathrm {B}}=200 \ \mathrm {[A]} \ \)と求められます。

(オ)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の5の通り,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値\( \ I_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[A]} \ \)は、電動機等の定格電流の合計の\( \ 3 \ \)倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値\( \ I_{\mathrm {B1}} \ \mathrm {[A]} \ \)もしくは低圧幹線の許容電流を\( \ 2.5 \ \)倍した値\( \ I_{\mathrm {B2}} \ \mathrm {[A]} \ \)の小さい方を取れば良いので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {B1}} &=&3I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&3\times 70+10 \\[ 5pt ] &=&220 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] I_{\mathrm {B2}} &=&2.5I_{\mathrm {C}}^{\prime } \\[ 5pt ] &=&2.5\times 88 \\[ 5pt ] &=&220 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,\( \ I_{\mathrm {B}}=220 \ \mathrm {[A]} \ \)と求められます。

(カ)
電気設備技術基準の解釈第148条第1項の5の通り,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値\( \ I_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[A]} \ \)は、電動機等の定格電流の合計の\( \ 3 \ \)倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値\( \ I_{\mathrm {B1}} \ \mathrm {[A]} \ \)もしくは低圧幹線の許容電流を\( \ 2.5 \ \)倍した値\( \ I_{\mathrm {B2}} \ \mathrm {[A]} \ \)の小さい方を取れば良いので,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {B1}} &=&3I_{\mathrm {M}}+I_{\mathrm {H}} \\[ 5pt ] &=&3\times 80+0 \\[ 5pt ] &=&240 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] I_{\mathrm {B2}} &=&2.5I_{\mathrm {C}}^{\prime } \\[ 5pt ] &=&2.5\times 88 \\[ 5pt ] &=&220 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,\( \ I_{\mathrm {B}}=220 \ \mathrm {[A]} \ \)と求められます。

<電気設備技術基準の解釈第148条(抜粋)>
低圧幹線は、次の各号によること。

一 損傷を受けるおそれがない場所に施設すること。

二 電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。ただし、当該低圧幹線に接続する負荷のうち、電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下この条において「電動機等」という。)の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は、他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。

イ 電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍

ロ 電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍

三 前号の規定における電流値は、需要率、力率等が明らかな場合には、これらによって適当に修正した値とすることができる。

四 低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

イ 低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合

ロ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイに掲げる低圧幹線に接続する長さ8m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合

ハ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイ若しくはロに掲げる低圧幹線に接続する長さ3m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合

ニ 低圧幹線に電気を供給する電源が太陽電池のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する最大短絡電流以上である場合

五 前号の規定における「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。ただし、低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、次のいずれかによることができる。

イ 電動機等の定格電流の合計の3倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。

ロ イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を2.5倍した値を超える場合は、その許容電流を2.5倍した値以下であること。

ハ 当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、イ又はロの規定による値の直近上位の標準定格であること。

六 第四号の規定により施設する過電流遮断器は、各極(多線式電路の中性極を除く。)に施設すること。ただし、対地電圧が150V以下の低圧屋内電路の接地側電線以外の電線に施設した過電流遮断器が動作した場合において、各極が同時に遮断されるときは、当該電路の接地側電線に過電流遮断器を施設しないことができる。