《電力》〈電気材料〉[R4上:問14]電力用設備に使用される六フッ化硫黄ガスに関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

我が国の電力用設備に使用される\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) \( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,大気中に排出されると,オゾン層への影響は無視できるガスであるが,地球温暖化に及ぼす影響が大きいガスである。

(2) \( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,圧力を高めることで絶縁破壊強度を高めることができ,同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が高い。

(3) \( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,液体,固体の絶縁媒体と比較して誘電率及び誘電正接が小さいため,誘電損が小さい。

(4) \( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,遮断器による電流遮断の際に,電極間でアーク放電を発生させないため,消弧能力に優れ,ガス遮断器の消弧媒体として使用されている。

(5) \( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,ガス絶縁開閉装置やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として使用され,変電所の小型化の実現に貢献している。

【ワンポイント解説】

\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特性に関する問題です。
\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガス自体は非常に重要な内容なので,多くの受験生が勉強されているかと思います。しかし,例年の\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの問題と比べると少し各選択肢の内容が嫌らしく,概要だけでなくしっかりと中身を理解していないと正答を選択できない問題でしたので,多くの受験生が迷ってしまったかもしれません。

1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴
\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,気体絶縁材料としてガス遮断器\( \ \left( \mathrm {GCB}\right) \ \)やガス絶縁開閉装置\( \ \left( \mathrm {GIS}\right) \ \)、ガス絶縁変圧器等に利用され,以下の特徴を有しています。
・高い絶縁耐力を持つ
・高いアーク消弧能力を持つ
・無色,無臭,無毒のガスで安全である
・化学的,熱的に安定している
・熱伝達係数が大きく,冷却能力が高い
・固体液体材料に比べても誘電率,誘電正接が小さいため,誘電損が少ない
・空気より重い
・地球温暖化に影響を及ぼす(同量の二酸化炭素の\( \ 20000 \ \)倍以上)

【解答】

解答:(4)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは,大気中に排出されると,オゾン層への影響は無視できるガスですが,地球温暖化に及ぼす影響が大きいガスです。
オゾン層の影響があるガスとしてはクロロフルオロカーボン\( \ \left( \mathrm {CFC} \right) \ \ \),ハイドロクロロフルオロカーボン\( \ \left( \mathrm {HCFC} \right) \ \ \),ハロン等があります。

(2):正しい
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは高い絶縁耐力を持ち,圧力を高めることでさらに絶縁破壊強度を高めることができるので,電気機器を使用する際にも圧力を高めて使用します。

(3):正しい
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは誘電率及び誘電正接が小さいため,誘電損も小さくなります。

(4):誤り
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスは高いアーク消弧能力を有していますが,アーク放電自体を発生しないわけではありません。

(5):正しい
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスの特徴」の通り,\( \ \mathrm {{SF}_{6}} \ \)ガスはガス絶縁開閉装置やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として使用され,空気よりも高い絶縁耐力があることから変電所の小型化の実現にも貢献しています。