《機械》〈変圧器〉[H29:問8]変圧器の効率に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

定格容量\( \ 50 \ \mathrm {kV\cdot A} \ \)の単相変圧器において,力率\( \ 1 \ \)の負荷で全負荷運転したときに,銅損が\( \ 1000 \ \mathrm {W} \ \),鉄損が\( \ 250 \ \mathrm {W} \ \)となった。力率\( \ 1 \ \)を維持したまま負荷を調整し,最大効率となる条件で運転した。鉄損と銅損以外の損失は無視できるものとし,この最大効率となる条件での効率の値\( \ [%] \ \)として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) \(95.2\)  (2) \(96.0\)  (3) \(97.6\)  (4) \(98.0\)  (5) \(99.0\)

【ワンポイント解説】

変圧器の効率に関する問題は頻出の問題です。慣れてしまえばそれほど難しくはないので,確実に理解しておきましょう。

1.変圧器の効率\( \ \eta \ \)と最大効率\( \ \eta _{\mathrm {m}} \ \)
変圧器の損失は鉄損\( \ p_{\mathrm {i}} \ \)と銅損\( \ p_{\mathrm {c}} \ \)があり,\( \ p_{\mathrm {i}} \ \)は負荷によらず一定であり,\( \ p_{\mathrm {c}} \ \)は負荷(電流)の\( \ 2 \ \)乗に比例します。従って,定格出力\( \ P_{\mathrm {n}} \ \)で利用率\( \ \alpha \ \)の時の変圧器の効率\( \ \eta \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
\eta &=&\frac {出力}{入力} \\[ 5pt ] &=&\frac {出力}{出力+損失} \\[ 5pt ] &=&\frac {\alpha P_{\mathrm {n}}}{\alpha P_{\mathrm {n}}+p_{\mathrm {i}}+\alpha ^{2}p_{\mathrm {c}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。
次に,最大効率\( \ \eta _{\mathrm {m}} \ \)を求めます。上式の分母分子を\( \ \alpha \ \)で割ると
\[
\begin{eqnarray}
\eta &=&\frac {P_{\mathrm {n}}}{\displaystyle P_{\mathrm {n}}+\frac {p_{\mathrm {i}}}{\alpha }+\alpha p_{\mathrm {c}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,効率が最大となるためには,上式の分母が最小となれば良いです。よって,\( \ \displaystyle A=P_{\mathrm {n}}+\frac {p_{\mathrm {i}}}{\alpha }+\alpha p_{\mathrm {c}} \ \)と置くと,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {dA}{d\alpha }&=&-\frac {p_{\mathrm {i}}}{\alpha ^{2} }+p_{\mathrm {c}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。よって\( \ \displaystyle \frac {dA}{d\alpha }=0 \ \)となるとき,\( \ p_{\mathrm {i}}=\alpha ^{2}p_{\mathrm {c}} \ \)である。すなわち,鉄損と銅損が等しい時効率は最大となります。

 ※ 本問題を解く上では,鉄損と銅損が等しい時,効率が最大となることを覚えていれば問題ありません。

【関連する「電気の神髄」記事】

  変圧器の効率

【解答】

解答:(4)
鉄損と銅損が等しい時,効率が最大となるから,鉄損を\( \ p_{\mathrm {i}} \ \),全負荷時の銅損を\( \ p_{\mathrm {c}} \ \),最大効率となる時の利用率を\( \ \alpha \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
p_{\mathrm {i}}&=&\alpha ^{2}p_{\mathrm {c}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] が成立するため,\( \ \alpha \ \)を求めると,
\[
\begin{eqnarray}
250&=&\alpha ^{2}\times 1000 \\[ 5pt ] \alpha &=&0.5 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。よって,力率\( \ 1 \ \)で最大効率となる負荷\( \ P_{\mathrm {m}} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
P_{\mathrm {m}}&=&50\times 0.5 \\[ 5pt ] &=&25 \ \mathrm {[kW]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,この時の効率\( \ \eta _{\mathrm {m}} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
\eta _{\mathrm {m}}&=&\frac {25\times 10^{3}}{25\times 10^{3}+250+250}\times 100 \\[ 5pt ] &≒&98.0 \ [%] \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。