《機械》〈変圧器〉[R08上:問8]返還負荷法の回路構成に関する選択問題

【問題】

【難易度】★★★★★(難しい)

電力用大形変圧器の温度上昇試験の一つに返還負荷法がある。この試験法では,外部電源から鉄損と銅損に相当する電力のみを供給すればよいので試験電源が比較的小規模なものですむ。単相変圧器におけるこの試験の結線方法及び図中に示す鉄損,銅損の供給方法として,次の(1)~(5)のうちから正しいものを一つ選べ。ただし,\( \ \mathrm {T_{1}} \ \),\( \ \mathrm {T_{2}} \ \)は試験対象となる同じ仕様の変圧器,\( \ \mathrm {T_{3}} \ \)は補助変圧器であり,鉄損を供給する電源\( \ \mathrm {E} \ \)の電圧は定格電圧とする。

【ワンポイント解説】

温度上昇試験の一つである返還負荷法に関する問題です。
正直なところ専門性が強すぎるため,令和元年問9以降出題されることはないだろうと予想していましたが,再出題されることになりました。
今後の再出題に備え,鉄損供給側を並列,銅損供給側を極性を逆にして直列,とすることは覚えておきましょう。

1.変圧器の温度上昇試験
変圧器の温度上昇試験は変圧器の油や巻線等の温度を測定するもので,実負荷法,返還負荷法,等価負荷法があります。

①実負荷法
定格負荷状態において温度上昇試験を行う試験方法です。実際に変圧器に負荷をかけて試験を行う方法なので,大容量の変圧器に適用するのは現実的ではなく,小容量の変圧器のみに適用されます。

②返還負荷法
無負荷損と負荷損それぞれの電源容量を別々に供給し測定する方法で、試験の電源容量が少ないので,電力用等の大容量の変圧器でも用いられる方法です。ただし,同一定格の変圧器を\( \ 2 \ \)台以上必要とし,測定結果から温度補正をする必要があります。したがって,現地試験として行われることはありません。

③等価負荷法
片方の巻線を短絡して定格周波数の電源によって他方の巻線に電流を流し,無負荷損と負荷損の和に等しい損失を流した時の温度上昇を測定する方法です。全損失を負荷損として供給する方法であるため,それぞれの値を把握している必要があります。また,温度補正等の計算を行う必要があります。

2.返還負荷法
図1及び図2に示すように,同一仕様の変圧器を\( \ 2 \ \)台用いて,鉄損供給側は変圧器を並列に接続し,銅損供給側は直列に接続し,温度上昇を測定します。無負荷試験や短絡試験の原理を理解しているとわかりやすいです。

①鉄損供給側
一次側に定格電圧\( \ V_{\mathrm {1n}} \ \mathrm {[V]} \ \)を加えると,それぞれの変圧器の二次側には\( \ V_{\mathrm {2n}} \ \mathrm {[V]} \ \)が誘起されますが,それぞれの変圧器から流れ出ようとする電流(図1の\( \ I_{\mathrm {2n}} \ \mathrm {[A]} \ \)に相当)が打ち消し合うため,二次側に流れる電流が零となります。よって,一次側に流れる電流が励磁電流のみとなり,鉄損分の発熱が起こります。

②銅損供給側
二次側に定格電流\( \ I_{\mathrm {2n}} \ \mathrm {[A]} \ \)を流すと,それぞれの変圧器の一次側には\( \ V_{\mathrm {1s}} \ \mathrm {[V]} \ \)が誘起されますが,それぞれの変圧器の電圧が逆極性となるため打ち消し合い,一次側の電圧が零となります。よって,短絡状態であると考えられるため,励磁電流が十分に小さいと考えれば変圧器の一次銅損と二次銅損分の発熱が起こります。

【解答】

解答:(4)
ワンポイント解説「2.返還負荷法」の通り,返還負荷法における正しい接続は(4)となります。