《理論》〈電気回路〉[H28:問10]過渡現象に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

図のように,電圧\(E\mathrm {[ V ] }\)の直流電源,スイッチ\(\mathrm {S}\),\(R\mathrm {[ \Omega ] }\)の抵抗及び静電容量\(C\mathrm {[ F ] }\)のコンデンサからなる回路がある。この回路において,スイッチ\(\mathrm {S}\)を1側に接続してコンデンサを十分に充電した後,時刻\(t=0s\)でスイッチ\(\mathrm {S}\)を1側から2側に切り換えた。2側に切り換えた以降の記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,自然対数の底は,2.718とする。

(1) 回路の時定数は,\(C\)の値\(\mathrm {[ F ] }\)に比例する。

(2) コンデンサの端子電圧\(v_{\mathrm {C}}\mathrm {[ V ] }\)は,\(R\)の値\(\mathrm {[ \Omega ] }\)が大きいほど緩やかに減少する。

(3) 時刻\(t=0\mathrm {s}\)から回路の時定数だけ時間が経過すると,コンデンサの端子電圧\(v_{\mathrm {C}}\mathrm {[ V ] }\)は直流電源の電圧\(E\mathrm {[ V ] }\)の0.368倍に減少する。

(4) 抵抗の端子電圧\(v_{\mathrm {R}}\mathrm {[ V ] }\)の極性は,切り換え前(コンデンサ充電中)と逆になる。

(5) 時刻\(t=0\mathrm {s}\)における回路の電流\(i\mathrm {[ A ] }\)は,\(C\)の値\(\mathrm {[ F ] }\)に関係する。

【ワンポイント解説】

過渡現象は回路の微分方程式を解いて求めます。三種の場合はその結果を暗記していれば問題ありませんが,微分方程式を解けるようにした方が覚えることが減り,結果的に楽かもしれません。

1.RC直列回路の過渡現象
1.問題図のスイッチ1側にした場合
回路方程式は,
\[
Ri+\frac {q}{C}=E
\] となり,\(\displaystyle i=\frac {dq}{dt}\)であるから,
\[
R\frac {dq}{dt}+\frac {q}{C}=E
\] となります。まず,定常解\(q_{\mathrm {s}}\)を求めると,十分に時間が経った時,\(\displaystyle \frac {dq}{dt}=0\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {q_{\mathrm {s}}}{C}&=&E \\[ 5pt ] q_{\mathrm {s}}&=&CE
\end{eqnarray}
\] と求められます。一方,過渡解\(q_{\mathrm {t}}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
&&R\frac {dq_{\mathrm {t}}}{dt}+\frac {q_{\mathrm {t}}}{C}&=&0 \\[ 5pt ] &⇔&   \frac {1}{q_{\mathrm {t}}}dq_{\mathrm {t}}&=&-\frac {1}{RC}dt
\end{eqnarray}
\] 両辺積分すると,
\[
\begin{eqnarray}
&&\ln q_{\mathrm {t}}&=&-\frac {1}{RC}t+C ( Cは積分定数) \\[ 5pt ] &⇔& q_{\mathrm {t}}&=&Ae^{-\frac {1}{RC}t} ( Aは積分定数)
\end{eqnarray}
\] となります。よって,一般解\(q\)は
\[
\begin{eqnarray}
q&=&q_{\mathrm {s}}+q_{\mathrm {t}} \\[ 5pt ] &=&CE+Ae^{-\frac {1}{RC}t}
\end{eqnarray}
\] となります。ここで,\(q ( 0 ) =0\)であるから,\(A=-CE\)となり,
\[
q=CE ( 1-e^{-\frac {1}{RC}t} )
\] と求められます。また,\(\displaystyle i=\frac {dq}{dt}\)であるから,
\[
i=\frac {E}{R} e^{-\frac {1}{RC}t}
\] となります。

2.スイッチ1側にして十分充電した後,スイッチ2側にした場合
回路方程式は,
\[
R\frac {dq}{dt}+\frac {q}{C}=0
\] となり,定常解\(q_{\mathrm {s}}=0\)であり,過渡解のみ求めればよいことになります。
スイッチ1側と同様に求めると,
\[
q=Ae^{-\frac {1}{RC}t}
\] となり,\(q ( 0 ) =CE\)であるから,
\[
q=CEe^{-\frac {1}{RC}t}
\] と求められます。また,電流は,
\[
i=-\frac{E}{R}e^{-\frac {1}{RC}t}
\] と求められます。この時,\(T=RC\)を時定数と言います。

【解答】

解答:(5)
(1):正しい
時定数は\(T=RC\)で表されます。

(2):正しい
コンデンサ電圧\(v_{C}\)は,
\[
v_{\mathrm {C}}=\frac {q}{C}=Ee^{-\frac {1}{RC}t}
\] となり,\(R\)が大きいほど,\(v_{\mathrm {C}}\)は緩やかになる。

(3):正しい
\[
\begin{eqnarray}
v_{\mathrm {C}}( RC ) &=&Ee^{-\frac {RC}{RC}} \\[ 5pt ] &=&Ee^{-1} \\[ 5pt ] &≒&0.368E
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(4):正しい
切り換え前後で電流の向きが逆となるため,\(v_{\mathrm {R}}\)の極性も逆となる。

(5):誤り
\(t=0\)における電流は\(\displaystyle i ( 0 ) =-\frac{E}{R}\)であるため,\(C\)の値に無関係となる。