《法規》〈電気設備技術基準〉[H23:問8]特殊施設に電気を供給する変圧器等に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★★(難しい)

次の\( \ \mathrm {a} \ \)から\( \ \mathrm {c} \ \)の文章は,特殊施設に電気を供給する変圧器等に関する記述である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\( \ \mathrm {a}. \ \)可搬型の溶接電極を使用するアーク溶接装置を施設するとき,溶接変圧器は,絶縁変圧器であること。また,被溶接材又はこれと電気的に接続される持具,定盤等の金属体には,\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事を施すこと。

\( \ \mathrm {b}. \ \)プール用水中照明灯に電気を供給するためには,一次側電路の使用電圧及び二次側電路の使用電圧がそれぞれ\( \ 300 \ \mathrm {[V]} \ \)以下及び\( \ 150 \ \mathrm {[V]} \ \)以下の絶縁変圧器を使用し,絶縁変圧器の二次側配線は金属管工事により施設し,かつ,その絶縁変圧器の二次側電路を接地すること。

\( \ \mathrm {c}. \ \)遊戯用電車(遊園地,遊戯場等の構内において遊戯用のために施設するものをいう。)に電気を供給する電路の使用電圧に電気を変成するために使用する変圧器は,絶縁変圧器であること。

\[
\begin{array}{cccc}
& \mathrm {a} & \mathrm {b} & \mathrm {c} \\
\hline
(1) &  不適切  &  適 切  &  適 切  \\
\hline
(2) &  適 切  &  不適切  &  適 切  \\
\hline
(3) &  不適切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
(4) &  不適切  &  不適切  &  適 切  \\
\hline
(5) &  適 切  &  不適切  &  不適切  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第187条,第189条及び第190条からの出題です。
電気設備技術基準の解釈の特殊機器等の施設に関する出題はたまに出題されることはありますが,その範囲も膨大で全体をカバーするのは困難になるかと思います。
本問の範囲は割り切って他の分野に専念することも一つの作戦として検討しましょう。

【解答】

解答:(2)
a.適切
電気設備の技術基準の解釈第190条の通り,可搬型の溶接電極を使用するアーク溶接装置を施設するときには,溶接変圧器は絶縁変圧器であること,及び被溶接材又はこれと電気的に接続される持具(治具),定盤等の金属体には,\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事を施すことが規定されています。

b.不適切
電気設備の技術基準の解釈第187条の通り,プール用水中照明灯に電気を供給するためには,一次側電路の使用電圧及び二次側電路の使用電圧がそれぞれ\( \ 300 \ \mathrm {[V]} \ \)以下及び\( \ 150 \ \mathrm {[V]} \ \)以下の絶縁変圧器を使用し,絶縁変圧器の二次側配線は金属管工事により施設することが規定されています。しかし,絶縁変圧器の二次側電路は非接地とする必要があります。

c.適切
電気設備の技術基準の解釈第189条の通り,遊戯用電車に電気を供給する電路の使用電圧に電気を変成するために使用する変圧器は,絶縁変圧器であることが規定されています。

<電気設備の技術基準の解釈第187条(抜粋)>
水中又はこれに準ずる場所であって、人が触れるおそれのある場所に施設する照明灯は、次の各号によること。
二 照明灯に電気を供給する電路には、次に適合する絶縁変圧器を施設すること。
 イ b.1次側の使用電圧は\( \ \color{blue}{\underline {300 \ \mathrm {V}}} \)以下、2次側の使用電圧は\( \ \color{blue}{\underline {150 \ \mathrm {V}}} \)以下であること。
 ロ 絶縁変圧器は、その\( \ 2 \ \)次側電路の使用電圧が\( \ 30 \ \mathrm {V} \ \)以下の場合は、\( \ 1 \ \)次巻線と\( \ 2 \ \)次巻線との間に金属製の混触防止板を設け、これに\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事を施すこと。この場合において、\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事に使用する接地線は、次のいずれかによること。
 (イ) 接触防護措置を施すこと。
 ハ 絶縁変圧器は、交流\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)の試験電圧を\( \ 1 \ \)の巻線と他の巻線、鉄心及び外箱との間に連続して\( \ 1 \ \)分間加えて絶縁耐力を試験したとき、これに耐える性能を有すること。
三 前号の規定により施設する絶縁変圧器の2次側電路は、次によること。
 イ b.電路は、非接地であること。
 ロ 開閉器及び過電流遮断器を各極に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
 ハ 使用電圧が\( \ 30 \ \mathrm {V} \ \)を超える場合は、その電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
 ニ ロの規定により施設する開閉器及び過電流遮断器並びにハの規定により施設する地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は、堅ろうな金属製の外箱に収めること。
 ホ b.配線は、金属管工事によること。
 ヘ 照明灯に接続する移動電線は、次によること。
 (ロ) 電線には、接続点を設けないこと。
 (ハ) 損傷を受けるおそれがある箇所に施設する場合は、適当な防護装置を設けること。
 ト ホの規定による配線とヘの規定による移動電線との接続には、接地極を有する差込み接続器を使用し、これを水が浸入し難い構造の金属製の外箱に収め、水中又はこれに準ずる以外の場所に施設すること。

<電気設備の技術基準の解釈第189条(抜粋)>
遊戯用電車(遊園地の構内等において遊戯用のために施設するものであって、人や物を別の場所へ運送することを主な目的としないものをいう。以下この条において同じ。)内の電路及びこれに電気を供給するために
使用する電気設備は、次の各号によること。
一 遊戯用電車内の電路は、次によること。
 イ 取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設すること。
 ロ 遊戯用電車内に昇圧用変圧器を施設する場合は、次によること。
 (イ) 変圧器は、絶縁変圧器であること。
 (ロ) 変圧器の\( \ 2 \ \)次側の使用電圧は、\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
 ハ 遊戯用電車内の電路と大地との間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が、当該電路に接続される機器の定格電流の合計値の\( \ 1/5000 \ \)を超えないように保つこと。
二 遊戯用電車に電気を供給する電路は、次によること。
 イ 使用電圧は、直流にあっては\( \ 60 \ \mathrm {V} \ \)以下、交流にあっては\( \ 40 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
 ロ イに規定する使用電圧に電気を変成するために使用する変圧器は、次によること。
 (イ) c.変圧器は、絶縁変圧器であること。
 (ロ) 変圧器の\( \ 1 \ \)次側の使用電圧は、\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
 ハ 電路には、専用の開閉器を施設すること。
 ニ 遊戯用電車に電気を供給するために使用する接触電線(以下この条において「接触電線」という。)は、次によること。
 (イ) サードレール式により施設すること。
 (ロ) 接触電線と大地との間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流がレールの延長\( \ 1 \ \mathrm {km} \ \)につき\( \ 100 \ \mathrm {mA} \ \)を超えないように保つこと。
三 接触電線及びレールは、人が容易に立ち入らないように措置した場所に施設すること。
四 電路の一部として使用するレールは、溶接(継目板の溶接を含む。)による場合を除き、適当なボンドで電気的に接続すること。
五 変圧器、整流器等とレール及び接触電線とを接続する電線並びに接触電線相互を接続する電線には、ケーブル工事により施設する場合を除き、簡易接触防護措置を施すこと。

<電気設備の技術基準の解釈第190条(抜粋)>
可搬型の溶接電極を使用するアーク溶接装置は、次の各号によること。
一 a.溶接変圧器は、絶縁変圧器であること。
二 溶接変圧器の\( \ 1 \ \)次側電路の対地電圧は、\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。
三 溶接変圧器の\( \ 1 \ \)次側電路には、溶接変圧器に近い箇所であって、容易に開閉することができる箇所に開閉器を施設すること。
四 溶接変圧器の\( \ 2 \ \)次側電路のうち、溶接変圧器から溶接電極に至る部分及び溶接変圧器から被溶接材に至る部分(電気機械器具内の電路を除く。)は、次によること。
 ハ 電路は、溶接の際に流れる電流を安全に通じることのできるものであること。
 ニ 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には、適当な防護装置を設けること。
五 a.被溶接材又はこれと電気的に接続される治具、定盤等の金属体には、\( \ \color{blue}{\underline {\mathrm {D}}} \)種接地工事を施すこと。